新型コロナ「インド変異株」の強化型 「デルタプラス」五輪直前の日本に上陸

   東京都では2021年6月20日、緊急事態宣言が解除されたが、このところ感染者が日々増えている。来日する五輪選手団・関係者の中からも、感染者が出始めた。英国などで広がっているデルタ株(インド変異株)の急拡大が日本でも懸念されている。

   さらに、新たにそのデルタ株が変異した「デルタプラス」も見つかっている。「安心・安全」な五輪が本当に可能なのか、心配のタネが尽きない。

空港では水際対策が取られているが
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感染広げやすく、症状がより重く

   東京都の感染者は23日、約1か月ぶりに600人を突破した。一週間の感染者数が、前の週の平均を上回る状態になっている。宮内庁の西村泰彦長官は、24日の定例の記者会見で、「オリンピックをめぐる情勢につきまして、天皇陛下は現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を、大変ご心配されておられます」と述べた。

   毎日新聞によると、五輪選手団の感染者は直近のウガンダの2人だけではない。2月にフランス1人、4月にエジプト1人、5月にスリランカ1人、6月にガーナ1人、そしてウガンダ2人の計6人。多くは来日直後の空港検疫で確認されたが、スリランカ1人は入国5日目、ウガンダ2人のうち1人も入国5日目に判明した。空港での水際作戦では対応できないことが明らかになっている。こうしたデータが必ずしも政府から明かされないことも不安に拍車をかける。

   新型コロナウイルスに関して今、世界が神経をとがらせているのが「デルタ株」だ。インドで確認された新型コロナウイルスの変異ウイルスで、「インド株」とも呼ばれている。

   コロナを抑え込んだといわれていた英国では5月以降、デルタ株が急速に拡大、再びコロナが広がり、世界的に関心を集めることになった。特に英国ではワクチン接種が進んでいただけに衝撃が大きかった。

   感染を広げやすく、症状がより重くなるデルタ株。米国政府も、米国の新規感染者の中でデルタ株が5月8日の1.2%から6月19日には20.6%と急激に増加していることを明らかにしている。

国内で既に37例確認

   日本でもデルタ株は増えている。京都大学の西浦博教授によると、国内での感染力は従来のウイルスの1.95倍と推定されている。これまでのデータから試算すると、ウイルスは7月12日ごろに日本のコロナ感染者の半数を超え、東京オリンピックが開幕する7月23日時点で全体の68.9%になると予測されるという。

   このデルタ株に加えて、新たに「デルタプラス」の出現も確認されている。フジテレビによると、英国の衛生当局は、6月16日現在、英国のほか、日本や米国、ポルトガルなど、11カ国で感染が確認されたと明らかにしている。

   英国内では、2021年4月以降、41件が確認され、男女を問わず、幅広い年代で感染が広がっていることから、対策強化に乗り出しているという。加藤勝信官房長官は6月25日午前の会見で、国内では6月21日の時点で37例が確認されていると明らかにした。

   インドでもデルタプラスが確認されている。ハルシュ・ヴァルダン保健・家庭福祉大臣は「従来のデルタより感染力が強いものと予想され、各州で新型コロナ検査とワクチン接種を増やさなければならない」と語っているという。

   この「デルタプラス」について日本では全く別の角度からも話題になっている。というのは機動戦士ガンダムシリーズに登場するモビルスーツ(ロボット)の一つが「デルタプラス」という名前なのだ。このロボットは戦闘機のような形態から人型に変形できる。変異型ウイルスと重なるところがある。

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