東京五輪の競技会場に被災地「シンボルツリー」を植樹 東日本大震災への復興祈念
東京都は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を通じて東日本大震災の復興を支援するため、様々な取り組みを行っている。2021年6月6日には、競技会場となる東京都の「有明アリーナ」に岩手県、宮城県、福島県、熊本県のシンボルツリーが植樹された。
同大会準備局次長の佐藤智秀氏と各県の東京事務所長が出席し、あいさつと植樹を行った。
都民と被災地をつなぐシンボルに
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、大会の理念のひとつとして東日本大震災からの復興を後押しする取り組み「復興五輪」を掲げている。今回はその一環で、岩手、宮城、福島の3県と、2016年の熊本地震で被災した熊本県の被災4県が育成した樹木を1本ずつ植樹した。
主催者挨拶として、まず小池百合子都知事の祝辞を佐藤氏が代読した。「会場となるここ有明アリーナは、(オリンピック)大会時にバレーボールや車いすバスケットボールの競技会場となります」と述べ、ここに植える樹木が将来に渡って都民と被災地をつなぐシンボルになってほしい、と話した。
続いて、各県知事からの祝辞を東京事務所長がそれぞれ代読。岩手県東京事務所長の平井省三氏は、岩手の県木「アカマツ」は、木材としては年を経るごとにつやのある琥珀色に変化し、美しい光沢を放つ、と説明した。東京2020大会の選手村ビレッジプラザのメディアセンターの柱などにも使用されているという。「純和風高級材」として質、量ともに日本一を誇るそうだ。
1人もとり残すことのない希望溢れる熊本を
宮城県の県木は「ケヤキ」。豊かな緑の郷土を作るため、県民に親しみ愛される宮城県を代表する県木として選定された。福島県も同じく「ケヤキ」だ。強くたくましく生きようと願う、福島県民の姿を表現するのにふさわしい木として、県民から一般募集し選ばれた。
熊本県の県木は「クスノキ」で、熊本城内をはじめ、県内各地の神社や寺院に巨木が見られ、昔から県民に親しまれてきたという。熊本は、熊本地震だけでなく2020年7月に豪雨災害にも見舞われ、今も逆境のなかにいる。代読した内田清之氏は、「その中で、苦しむ方々に寄り添い、1人もとり残すことのない希望溢れる熊本を目指し、復旧・復興に取り組んでいる」と現状を説明した。
あいさつの後、各県のシンボルツリーは、東京事務所長らの手によって、1本ずつ丁寧に植えられた。