台湾でコロナ急増、英国型変異株入りこむ 海外から10万人「東京五輪」対策は
新型コロナウイルス対策で優等生と言われていた台湾で感染者が急増、市民の間に動揺が広がり、政府は対策に大わらわだ。どうして今ごろ、感染者が増えることになったのか。日本を含め内外にどんな影響をおよぼすのか。
外国人の入境禁止
台湾はコロナを抑えこんだとされていた。域内の感染確認は今月14日までの累計で164人。ところが、5月17日までのこの3日間だけで700人以上増え、累計で883人になったという。
台湾の人口は約2300万人。日本との人口比でいうと、まだ少ないが、感染者は大都市に集中している。当局は19日から1か月間、台湾の居留証を持たない外国人の入境を原則として停止することを決めた。
朝日新聞によると、今回の流行の引き金になったのは、中華航空国際線のパイロットだ。英国型の変異株が持ち込まれたという。パイロットは入境後の隔離期間(14日間)が特例で3日間とされていたが、同僚やホテル関係者への感染が急拡大。その後、ゲームセンターや女性が接待する飲食店などでも集団感染が起きたという。
すでに台湾では、パイロットは、海外から台湾に戻った後に集中検疫所で14日間の隔離が義務付けられたという。
ワクチンは選手団の7割
こうした台湾の予想外の感染拡大に、日本でもがインターネットなどで東京五輪との関係を心配する声が上がっている。五輪では短期間の検査や隔離で選手たちが入国することになると見られているからだ。
IOC(国際オリンピック委員会)は、東京五輪に向けてファイザーなどからワクチンの提供を受け、大会前に大多数の選手が接種することになるという見通しを示している。
5月12日の会見でIOCの広報責任者は、「具体的な数字はまだ言えないがその数はさらに増える」と述べた。
NHKは、「IOCは現時点で選手や関係者など選手団のおよそ7割はワクチンを接種して東京大会に臨めるという見通しを示している」と報じている。
JOC(日本オリンピック委員会)は大会を簡素化するため、IOCなどを通じて海外各国に大会関係者の削減を要請していた。それでも海外から大会関係者約9万人以下、選手団約1万5000人の来日が見込まれている。加えて台湾の例でもわかるように、航空関係者に対しても一段と厳しくする必要が明らかになり、検疫体制のさらなる強化がのぞまれることになりそうだ。