「PS5」入手困難まだまだ続くと専門家 中国で発売も供給は限定的とみる
ゲーム機「プレイステーション5」(PS5)が、2021年5月15日から中国でも販売される。日本では2020年11月の発売から依然として入手困難が続く半面、販売先に新たな国が加わる。
だが楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫氏はJ-CASTトレンドの取材に、世界的にPS5が入手困難な状況は今後もしばらくは解消しないだろうと話す。その理由を聞いた。
数倍の需要があると分析
半導体やゲーム機市場に詳しい今中氏は、PS5について、ソニーが予定している販売台数に対して「その数倍の実需があるはず」と分析した。
PS5はゲームグラフィックの描写能力といった性能の高さに比べ、値段が安いという。PS5は通常版が4万9980円(税込)だが、同じような性能のパソコン(PC)を買おうとすると、10万〜15万円はかかるとのこと。
さらに新型コロナウイルス禍によって日本や欧米で「巣ごもり」需要が生まれたほか、eスポーツの流行により、そのファンからもPS5に関心が向けられている。こうした複数の条件が合わさり、供給計画以上の需要が生じているとした。
一方で、需要に見合うように追加生産を行うことも難しいと今中氏。PS5本体に搭載される半導体は、世界最大手の半導体メーカー「台湾積体電路製造」(TSMC)が生産している。この半導体の供給が不足しているという指摘だ。
背景に半導体不足
テレワークの浸透によってPCやタブレットPCの需要が高まったほか、中国や米国では景気が改善しつつあり、自動車や家電の生産台数も回復してきた。その結果、ゲーム機のほかに自動車、家電に導入されるあらゆる半導体の需要が急増し、TSMCが生産する半導体も品不足となっているという。
「TSMCの生産能力次第で、ゲームをどれだけ作れるかが決まってしまう」という今中氏。現在のTSMCは自動車用の半導体の生産などに力を入れており、ゲーム用半導体の追加発注への対応は後回しになるとした。
半導体不足は今後も続くことから、今中氏は、PS5の供給不足は2022年になっても改善しないだろうとの見通しを語った。また中国への供給についても、「輸出できる台数はあまりないはずです」と推測した。