インド「変異株」なぜ日本に入ってきた 「水際対策強化」も入国者は途絶えずか
新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大しているインドが、「新型コロナウイルス変異株流行国・地域」に指定された。厚生労働省が2021年4月28日に公開した資料によると、これまで同国からの入国者・帰国者については、「自宅などで入国後14日間の待機」だったが、5月1日0時から「検疫所長の指定する場所で待機」、「入国後3日目に改めて検査」となる。
変異株流入を少しでも止めるための水際対策だが、インドの周辺国にあたるネパールは「変異株流行国・地域」対象外。厚生労働省の4月29日の発表ではインドはじめ、ネパールやパキスタンなどからの帰国者で、空港検疫により新型コロナウイルスの患者1人、無症状病原体保有者13人が報告されている。この「患者1人」は、4月29日にインドから羽田空港に到着した男性だ。
インド首都デリーからの到着便がいくつも
外務省は20年10月30日に発出した「各国に対する感染症危険情報」で、インド、ネパールやパキスタンなどを「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」地域と定めているが、直近で日本とインドの間にはどの程度、飛行機が飛んでいるのか。
まず羽田空港。公式サイトの「国際線フライト」情報でインド首都・デリー行きの便を探すと、4月29日(出発済み)と5月1日の9時40分発がある。逆に、デリーから到着する便は4月29日6時55分(到着済み)、5月1日5時35分、6時55分。5月1日の二便は、いずれも4月30日19時現在、欠航情報は出ていない。
続いて成田空港はどうか。4月29日の10時30分、デリー行が出発済みになっている。だが4月30日7時35分にインド・ムンバイから到着するはずだった便は「欠航」だ。ネパール首都・カトマンズ間のフライトもある。4月30日9時に到着した便は「到着済み」、同日11時のカトマンズ行きは「出発済み」だ(いずれも4月30日19時現在)。
既に変異株感染者が国内に感染を広げている恐れも
外務省は4月23日発表の「新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について」でインドやネパール、パキスタンなどを「上陸拒否対象国・地域」に指定している。「日本上陸前14日以内」に同国・地域に滞在歴がある外国人は、当分の間、「特段の事情」がない限り、上陸を拒否している。
逆に言えば、「特段の事情」があれば、インドやネパール、パキスタンに「日本上陸前14日以内」に滞在していても上陸が認められるということだ。また、上陸拒否対象地域でない地域から、上陸拒否対象地域を「給油や乗り継ぎ目的で経由(経由地で入国する場合は除く)した後に日本に到着する場合」は、上陸拒否対象地域での滞在歴があるとはみなされない。
前述した通り、あす5月1日より、インドからの入国者・帰国者は、「検疫所長の指定する場所で待機」、「入国後3日目に改めて検査」を受ける体制に移行する。ただ既に、これまで空港で行われていた「抗原検査」をすり抜けた変異株感染者が入国し、国内に感染を広げているとの指摘もある。