このトマト、腐って...ない! 農家おすすめ、甘くておいしい「尻腐れ果」
2021-03-22 07:30:00
「もしかして腐っている...?」。一見、そう感じるトマトがある。「尻腐れ果(しりぐされか)」という規格外品だ。
新潟県でトマトとトマトジュース専門の直売所を営んでいる農家「曽我ファーム」公式ツイッターが2021年3月20日、画像を投じると話題が広がった。投稿によると見た目は「エグい」が、黒い部分を切り落とせば問題なく食べられるうえ、「実は一番甘かったりする」という。
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並んでまで買おうとする人も
「尻腐れ果」は、どういう経緯で生まれるのか。曽我ファーム代表の曽我新一氏に取材すると、「『腐』という言葉がついていますが、腐っているわけじゃないんですよ」と前置きし、こう教えてくれた。
「トマトをより甘く作るために、与える水の量を制限することでトマトにストレスをかけます。すると、トマトがカルシウムを吸収できなくなり、『カルシウム欠乏症』になります。それによって生じるのが、『尻腐れ果』です」
「尻腐れ果」ができると、他のトマトを大きくするために切り落としてしまう農家もあるというが、曽我ファームでは直売所でそのまま販売したり、ジュースやケチャップにして売ったりしている。尻腐れ果がおいしいことを知っている客の中には、並んでまで買おうとする人もいるそうだ。ただ、知らない人からは時折、「『食べられるのか』と質問が来ることもあります」と曽我氏。
「4、5月は尻腐れ果が出やすい時期です。スーパーではなかなか見かけないと思いますが、直売所などで見つけたらぜひ買ってみてください。包丁で黒い部分を落として、ミキサーにかけてフレッシュジュースとして飲んだり、カプレーゼにして食べたりするのがおすすめです。甘いので、そのままでもいけますよ」
今の時期、トマトは「冷蔵庫に入れずに常温で」
これからの時期、おいしいトマトを見極める方法も聞いた。キーワードは「スターマーク」だ。
「春の甘いトマトに現れる放射状の線をスターマークと言います。これがびっしり入って小ぶりで重たいのを選ぶと甘いものに当たる可能性が高くなります」(曽我氏)
つまり以下のようなトマトを見つけたら、「買い」だ。
スターマークが現れているトマト(曽我ファーム提供)
おいしいトマトをおいしく食べるには、きちんとした保管方法をとる必要がある。今の時期、トマトは「冷蔵庫に入れずに常温で置いておき、赤く熟させた上で一週間以内に食べる」のがよいという。では、夏場はどうしたらよいのか。曽我氏は、
「基本的には、買ったらすぐ食べてほしいです。それが難しい場合は致し方ないですが、冷蔵庫で保存してください」
と話した。