GWコミケ「中止」じゃなく「延期」なのに 「21年冬開催」に悲観論も
2021年5月2日~4日に開催予定だった「コミックマーケット99(以下、コミケ)」が開催延期となった。きょう3月8日、コミックマーケット準備会が公式サイトで発表した。21年冬の開催を目指しているが、会場である「東京ビッグサイト」の利用がどのような形になるのか、現時点では不明だという。
ツイッターでは、「コミケ延期」と「コミケ中止」の二つが同時にトレンド入り。いったいどちらが正しいのか、戸惑う人が続出した。「中止ではなく延期」と正す声に対し、「実質中止と同じ」と反論する派が出て来ている。
ゴールデンウイークにやらないなら中止との解釈
「コミケ延期とはコミケ99が欠番にならずに冬コミに移行するわけであってGWコミケは実質中止ってことだね」
「春コミを6~7月等にシフト開催ではなく冬に改めて開催と言う事なので、現実的に言えば春コミは『中止』ですよね」
実質「中止」と受け止めている人の解釈だ。「コミケをゴールデンウイークに開催できない」から、ゴールデンウイークのコミケは「中止」と表現しているのがわかる。また21年冬の状況が読めないがゆえに、新型コロナウイルス感染拡大によって厳しい決断を迫られるのではと見ている人は「冬開催とか実質中止と同じ」だと、希望が持てない様子をにじませている。
このように「コミケ中止」という言葉が持つ意味は複雑だが、表面の情報だけさらって、コミックマーケット準備会がイベントの「中止」を判断したかのように誤解する人たちもいる。そのため、「中止と延期とでは意味が異なるので、発言に気をつけて」といさめたり、「一次情報を当たるように」と促したりする投稿が相次ぐ事態になっているのだ。
一方、中止ではなく「延期」だからこそ、「生きていける」と胸をなで下ろしているファンは少なくない。中止は「もう開催されない」が、延期は時期が延びるだけで「開催される」のが事実であり、この差は大きいと訴えるツイートが散見される。コミケ「99」という番号が欠番にならないのだから、「中止ではない」との意見もあった。
上限「1万人」は厳しい
コミックマーケット準備会がこのタイミングで「開催延期」の判断を下した理由は、直前で開催を断念して中止や延期することで、参加者・関係者に大きな影響を与えるリスクを避けたかったためだという。公式サイトには、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下における同人誌即売会の開催ガイドライン」に基づいて開催準備を進めてきたものの、
「1日の来場者数(一般参加だけではなく、サークル参加、スタッフ参加その他全ての参加者が含まれます)の上限が1万人となった場合、準備を進めていた計画の想定範囲を大幅に逸脱しており、コミックマーケット99の開催を計画通り進めることが困難であるというのが実情」
と苦しい状況が書き表されている。
2月26日に内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室が出した「基本的対処方針に基づく催物の開催制限、施設の使用制限等に係る留意事項等について」で、緊急事態宣言解除後の経過措置期間(4月11日まで)として、イベント開催における収容人数の上限が「『5000人又は収容定員の50%のいずれか大きい方』または『1万人』のいずれか小さい方を上限」と定めている。
同準備会は、「1万人を収容人数の上限とする経過措置期間」がゴールデンウイークまで延長される可能性があるため、「現時点で開催延期を判断せざるをえない、という結論に断腸の思いで至った」と説明している。