「田園調布の田中さん」から突如400万円届く 「令和のタイガーマスク」寄付相次ぐ

   「田園調布の田中さん」による匿名の寄付が相次いでいるとメディアで報じられ、話題になっている。同じような寄付が全国各地で起きているという。

善意の寄付が全国で
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「田園調布6丁目」は存在せず

   2021年2月26日の「FNNプライムオンライン」によると、2月13日、医療や文化活動などに携わる個人や団体を支援する公益財団法人「パブリックリソース財団」(東京・中央区)事務所に、なぞの郵便物が届いた。中を調べると、100万円の札束が4つ、合計400万円が入っていた。封筒に「東京都大田区田園調布 6丁目14-11 田中実」と差出人が記され、中には手紙が添えられていた。

「使うあてもなく箪笥で今まで眠っていたものを、コロナウイルスなどによってお困りの方を少しでも助けることができればと思い寄付いたします」

   「田園調布6丁目」は存在せず、「田園調布6丁目の田中さん」は架空の人物のようだ。同じような匿名での手紙と現金が入った封筒による寄付は、2月1日、大田区のNPO法人「グッドネーバーズ・ジャパン」にも届いていたという。

「匿名の寄付」全国で

   3月3日の朝日新聞東京版も、この話題を取り上げている。

   それによると、1月末、児童養護施設などで育った若い人たちを支援する団体「首都圏若者サポートネットワーク」(港区新橋)に一通の白封筒が届いた。開けると、100万円の札束が4つ入っていた。「この寄付を貴団体の活動及びコロナ等によって生活が困難な状況になっている方のお役に立てるようご活用いただきたくお願い申し上げます」という印字された手紙が入っていた。こちらも差出人は、「東京都大田区田園調布 6丁目」の「田中実」だった。「住所、氏名は架空のものです」とも記されていた。

   警察に相談したところ、「寄付の意思があるので、そのままお使いください」と言われたという。

   同紙によると、同じ文面による「匿名の寄付」は全国で相次いでいる。

   子ども食堂を支援する都内のNPO法人にも2月上旬に400万円、佐賀県に拠点を置く災害NPO法人には2月中旬に400万円、さらに国内外で様々な支援に取り組む「グッドネーバーズ・ジャパン」にも同様の封筒が郵送されているという。

石川や奈良では別の人物

   別件だが、NHKによると、石川県の輪島市など能登地方の複数の自治体にも「匿名寄付」が続いている。

   2月2日、輪島市に「能登元気人」と名乗る人物から「新型コロナウイルスの影響で財政の厳しい自治体を支援したい」と高額の寄付を申し出る電話があった。市の担当者が、寄付金を受け付ける口座の番号を伝えたところ1時間後に500万円が振り込まれていたという。

   NHKが能登地方の各自治体に取材したところ、2日は珠洲市にも同じ「能登元気人」からの電話のあと500万円が振り込まれたほか、穴水町、能登町にも、匿名で高額の寄付が寄せられていたことがわかった。

   また、奈良市では、24日14時ごろから15時ごろにかけて、市内の済美小学校と春日中学校、それに一条高校に、自転車に乗った70代くらいの男性が訪れ、それぞれ学校の職員に現金1000万円が入ったビニール袋を手渡した。

   男性は、「学校の子どものために使ってください」とだけ話し、名乗らずに立ち去ったという。

   奈良市では、20年6月にも70代くらいの男性が市役所の窓口を訪れて、現金3000万円が入った袋を置いて立ち去り、匿名で寄付するという同様の出来事があったという。

   こうした匿名寄付は、少し前の「タイガーマスク現象」が有名だ。

   2010年12月25日以降、日本各地の児童福祉関連施設に対し寄付行為の連鎖が続いた。多くのケースで、寄付の名義人は、プロレス漫画『タイガーマスク』の主人公の「伊達直人」を名乗っていたため「タイガーマスク現象」と呼ばれた。

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