「呪術廻戦」はポスト「鬼滅の刃」か プロが分析「ヒットの秘密」(後編)

(前編はこちら)

   漫画「呪術廻戦」の人気の秘密を解き明かす、2回シリーズ。後編も前編に続き、漫画のクチコミサービス「マンバ」(東京都千代田区)に聞く。

   「呪術廻戦」はポスト「鬼滅の刃」となるか、プロの目で評価してもらった。

「呪術廻戦」人気のひみつ(画像は「呪術廻戦」公式サイトより)
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アニメ放送後に単行本の発行部数が大幅増

――ズバリ、「呪術廻戦」がポスト「鬼滅の刃」となる可能性はあるでしょうか。

マンバ 現在の「鬼滅」のような社会現象・経済効果をもたらす大ヒット作品となる可能性は、十分にあると考えられます。
   まず、呪術廻戦は単行本第1巻が発売された翌週に重版が発表になりました。「鬼滅の刃」の重版の知らせがあったのが、1巻の発売日から約5か月後だったということと比べてみても、呪術廻戦は単行本の売り上げが序盤から非常に好調です。
 次に、鬼滅と同様、アニメ放送後に単行本の発行部数が大きく伸びています。
   「鬼滅の刃」は、19年にアニメが放送開始以降、原作漫画の出版部数が伸張しました。20年12月時点で、累計発行部数が約34倍になったというデータもあります。呪術廻戦もまた、アニメ化決定以降に累計発行部数を伸ばし続け、20年12月にはコミックスシリーズ累計発行部数が1500万部を突破しました。
   「呪術廻戦」のTVアニメシリーズは、現時点で1期2クールでの制作が決定しています。もし今後も映像化が続けば2期以降アニメの物語は、単行本の読者からの評価も高い五条悟(ごじょうさとる)の過去エピソード編に突入するため、1期のアニメを観てファンになった層がアニメの続きのストーリーを楽しむために原作を購入するなど、単行本の売り上げはまだまだ伸びると予想できるでしょう。

人気の起爆剤「0巻」の存在

――「鬼滅の刃」と似た現象が起きているということですね。今後、「呪術廻戦」はどのような動きが見られると思いますか。

マンバ 「鬼滅」はTVアニメの放送終了時に、アニメの続きの物語である「無限列車編」が劇場版アニメとして制作されることが発表され、ブームが下火になることなくさらに盛り上がりました。呪術廻戦も、アニメ1期の終了にあわせて制作陣が人気を後押しする新企画を発表する可能性が考えられます。考えられる1つに、「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」の映像化があります。これが、次の「無限列車編」となりうる人気の起爆剤です。

――どういった特徴がある作品ですか。

マンバ 「0巻」は、「呪術廻戦」本編の1年前に起きた出来事を描く全1巻の物語です。「呪術廻戦」本編を読んでいなくても楽しめる物語構成となっているため、アニメ放送の続きである「鬼滅」の映画と比べて、映像化した際に新規のファンが観に行きやすいというという強みがあります。「0巻」の主人公・乙骨憂太(おっこつゆうた)は作中では屈指の実力者で、ファンの人気が高いキャラクターであるため、映像化が決まれば相当盛り上がるはずです。

ちなみに、マンバがポスト「鬼滅の刃」として注目している作品は「麻雀バクチ列車!」だという。こちらにも期待がかかる。

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