■ホープフルステークス「カス丸の競馬GI大予想」
人気のダノンザキッドは万全か
カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。秋のGIもいよいよ大詰め、今週でおしまいだじぇい。クリスマスの翌日はホープフルステークス(2020年12月26日、中山競馬場、芝2000メートル)、その翌日がグランプリ・有馬記念(中山、2500メートル)きゃすう。人間様の世界は今年コロナ、コロナと大騒ぎだったけど、この1年間、馬たちは全力で走ってきたじぇい。夏までは無観客レースで寂しかったけど、秋からはファンも競馬場に入れるようになったし、売り上げは伸びて、JRA(日本中央競馬会)も折りにつけて数十億円のコロナ支援金を寄付してきたじぇい。競馬なんかで遊んでるときじゃない、とか冷たいことを言う無知な輩もいるけど、ちゃんと世の中の役にたってるきゃすう。
「中山の2000」を勝つ条件とは
カスヨ そうね、カス丸のいうように競馬は最高よ。馬たちから元気をもらえるからね。今週の有馬記念も最高のメンバーがそろったし楽しみね。まあその前に未来の競馬を担う2歳の若駒のレースがあるわ。わたしの本命◎はランドオブリバティよ。ホープフルSは来年のクラシック第一弾の皐月賞と同じコースね。第4コーナーを過ぎた直線入り口あたりからスタートして、ゴール前の坂を乗り越え、第1コーナーから第2にかけての登坂を駆け上がり、向こう正面は途中から下り坂に入り、第3、第4コーナーを回って直線に向かい、もう一回最後の急坂を上ってゴールという起伏に富んだコースなのね。中山での開催もだいぶ進んだころだから、芝コースが荒れているし、上り下りのコースだから2歳の若い馬たちにとっては、非常に厳しいレースだわ。スピードだけではダメで、スタミナとパワーも必要ね。そういう馬を選ぶことよ。ランドオブリバティはデビュー以来、2000メートルを2戦2勝と堅実ね。しかも不良馬場と良馬場での勝利経験があって、中山2000メートルを経験ずみだから、これは強みね。タイムも2分1秒2とGIに昇格してからのホープフルSの勝ちタイムよりも速いのよ。多頭数もデビュー戦で経験済みだし、コーセイちゃん(三浦皇成騎手)が初めてGIを取るチャンスかもしれないわ。
カス丸 ふーん、なんだかコースにぴったしの感じだじぇい。ガジュマル爺の本命◎はダノンザキッドきゃすう。例によって爺の好きな1番人気候補だじぇい。
ガジュマル爺 この馬の強みはキレがある、ということじゃ。6月のデビュー戦(阪神、1800メートル)では、2着馬を3馬身(0.5秒)ちぎって楽勝じゃ。前走の東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII、東京、2000メートル)では3番手から直線で抜け出すと1馬身4分の1(0.2秒)差で完勝じゃった。好位から、上がり3ハロン(最後の600メートル)を33秒5と最速タイムで走られては、並みの2歳馬では敵わんじゃろ。手綱を取る川田将雅騎手は先週の朝日杯フューチュリティステークスで7番人気のグレナディアガーズをGI馬に導いており、2週連続で2歳GIを制するはずじゃ。
カス丸 こっちも強そうだじぇい。でも前走で川田騎手は「まだ課題だらけの馬です」と言っているから、取りこぼしもあるかもしれないきゃすう。カスヨ姉さんの対抗〇はアドマイヤザーゲだじぇい。
カスヨ この馬もデビューから連勝中よ。前走は阪神2000m勝ちと距離の経験があるところが心強いわね。出遅れて最後方を追走したんだけど直線だけで他馬を差し切ったから、あの末脚は一流よ。ゴール前の急坂コースも経験したから中山2000メートルにはプラスね。半兄(異父)にダービー馬ロジユニバースがいるから血統的にも良血よ。
カス丸 爺の対抗〇はオーソクレースきゃすう。
ガジュマル爺 オーソクレースもデビュー以来連勝中じゃ。この馬はともかく血統がいいんじゃ。父は2013年の菊花賞、14年のジャパンカップを勝ったエピファネイア。母が2015年のエリザベス女王杯、16年の宝塚記念を制したマリアライトじゃ。父母ともにGI馬なんじゃが、中山の起伏の多いコースにぴったしの血統なんじゃ。これまでのレースをみると、2戦とも後方から上がり最速のタイムで、鮮やかに差し切るという2歳馬離れした末脚を披露しておる。ただ、8頭立てという少頭数のレースから、今回は一気に15頭立てに相手が増える点が若干懸念しとるんじゃ。うまく馬群をさばけるかどうかじゃな。じゃが、鞍上が今年大活躍で、このレースとも好相性のクリストフ・ルメール騎手に乗り替わるわけじゃから大きなプラス材料じゃろ。
カス丸 ふーん、これも強そうだじぇい。ホープフルSは2017年にGIになってから比較的順当な決着で終わってるきゃすう。ここ2年は3着内が3番人気以内で決まっているから超堅いレースだじぇい。でも以前のように穴馬が今年あたりは来るかもしれないきゃすう。穴をあけるのはどの馬だじぇい?
穴馬候補を分析すると
ガジュマル爺 わしの単穴▲はシュヴァリエローズじゃ。これまで3戦2勝。6月の阪神(1600メートル)を1番人気で勝った後、新潟へ転戦して重賞の新潟2歳ステークス(GIII、1600メートル)に挑戦して5着。ただ、最後方の位置から34秒4の脚を使って最後は差を詰めている。2勝目を挙げた前走の萩ステークスでは一変して先行策に転じ、2番手から抜け出すと2着のジュンブルースカイ(東スポ杯2歳ステークスで2着、朝日杯フューチュリティステークス12着)に2分の1馬身差で勝った。前走で荻Sを勝った馬はここ2年連対しとるんじゃ。去年はヴェルトライゼンデが2着、その前はサートゥルナーリアが優勝じゃ。シュヴァリエの父はディープインパクトじゃから期待できるというもんじゃ。 次はアオイショーじゃ。12月6日に新馬戦を勝ったばかりの馬がGIに挑戦するということじゃ。その新馬戦は中山2000メートルで、このレースと同じ舞台。16頭立ての後方11~10番手で追走し向こう正面からジワジワとポジションを上げて4コーナー6番手から、コースの外側を34秒8の脚で一気に追い込んだわけじゃ。2着とは2馬身2分の1差。時計は速くない(2分4秒9)ものの、掲示板(5着)に乗った馬が先行勢ばかりだったことを考えると、末脚は魅力たっぷりなんじゃ。1勝馬じゃが、2歳戦ではこういうのがあなどれないんじゃ。
カスヨ わたしはまずヨーホーレイクだわね。これまで2戦2勝でともに小差での勝ちだから派手さはないんだけど、勝負強いタイプなのね。全兄のカミノタサハラは弥生賞(GII、中山2000メートル)を制しているから、血統的にも「中山2000」の適性は高いはずよ。武豊騎手のホープフルS初制覇に期待しているんだけど、少頭数の競馬しかしたことがないため、多頭数で馬混みに入った時にどうなるかが気がかりね。もう一頭は、タイトルホルダーよ。デビュー戦は鮮やかな逃げ切り勝ち。続く東スポ杯2歳ステークスではダノンザキッドに0.2秒差で2着。デビュー戦は中山で勝利しているから、コース適性はあるわね。長く良い脚を使えるのも魅力よ。
カス丸 スピード、パワー、スタミナ。この3拍子がそろった馬だじぇい。ここは連勝中のオーソクレースが本命◎きゃすう。