「推しマンガ」を生放送で熱くPR! ファンが愛を爆発させる「マンガプレゼン大会」
「今、私が1番推しているマンガ」を熱くプレゼンする大会が2020年12月20日、ユーチューブで開催された。漫画のクチコミサービス「マンバ」(東京都千代田区)が17年から毎年12月にリアルイベントとして行っている「マンガプレゼン大会」だ。
今回、コロナ禍のため「YouTube Live」でプレゼンの様子を配信する、初のオンライン開催となった。6人の発表者が年代やジャンル、掲載媒体が異なる作品の魅力を、ゲストとして招かれたマンガソムリエ・兎来栄寿さんをはじめとした視聴者にぶつけた。
放水で消火活動できない時代の「火消し」の物語
発表者と発表作品は以下の通り。昨年の大会に続いて一途に同じ作品をアピールする人やバーチャル書店員(Vtuber)、スライドに加えて自身の姿も画面に映し出し、全身を使ったパワフルな発表を行う人など、さまざまな「マンガファン」が5分間であらすじ、好きなキャラクタ-、考察を語った。
1.のれん雛/武蔵野創「灼熱カバディ」
2.コニシ/山本中学「サブスク彼女」
3.紙屋凪/吉田了「吸血鬼の食卓」
4.あうしぃ@カワイイマンガ/大庭直仁「不思議なゆうなぎ」
5.なかやま/坂上暁仁「火消しの鳶」
6.すなわ食堂/近藤信輔「忍者と極道」
全プレゼン終了後に行われた投票の結果、「ベストスピーカー」に選ばれたのは、昨年に続き二度目の大会参加となった「なかやま」さん。紹介した「火消しの鳶」は、マンガ描きたちが自主出版した本を発表・販売する展示即売会「COMITIA131」(20年2月開催)で発行された60ページの同人誌。木と紙でできた江戸の町を火事から守る「火消し」と、着物の帯から提げる印籠や巾着を、帯に引っ掛けるための留め具「根付」を売る少女の物語だ。
同作の舞台となる1650年代の江戸はポンプ技術がまだなく、放水による消火活動ができない時代。そこで火消したちは押し寄せる火の海を前にして、防火帯上にある木造家屋を瞬く間に材木に返し、建物を壊すことで火を止めているという(画像2)。なかやまさんは、このスピード感と迫力が魅力だと訴えた。
オンラインイベントだからこそ「緊張しすぎず」「創意工夫」
大会終了後、進行役を務めたマンバ社・高橋さんに取材した。高橋さんは「過去に実店舗で開催したプレゼン大会と異なり、発表者が緊張しすぎず、リラックスしながら、自分が大好きなマンガについて楽しそうに語っているのが印象的だった」「発表者はZoomを利用してプレゼンを行うため、各自工夫をこらし、思い思いの手段を用いていたのが新鮮だった」と振り返る。リアルイベント時は会場の空気や緊張感が伝わり、発表者が実力を発揮できていないと感じるシーンが時折見受けられたという。
高橋さんは「2021年がどんな年になるかはまだわかりませんが、マンガ好きが全力で熱く『推しマンガ』について語れる場所を提供し続けたい」と話した。