会社の忘年会中止を喜べない1年生社員 職場で「いつまでも仲良くなれません」

   新型コロナウイルスの影響により、企業の間では忘年会中止ムードが広がっている。東京商工リサーチが2020年11月19日に発表した調査では、1万59社のうち87.8%の企業が忘年会や新年会を開催しないと答えた。忘年会が開催されないのを喜ぶ声も聞かれる。

   一方で、今年の新入社員は入社時から新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務や会食の禁止により同僚や先輩社員と接する機会が少ない人もいる。忘年会がないと、社員同士のコミュニケーションの場がまた1つ消える。社会人1年生はどう受け止めているか、20年4月入社の社員4人に取材した。

例年なら忘年会シーズンになるが
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業務上のコミュニケーションはできていても...

   取材に応じた4人の職場は、それぞれ異なるが、いずれも忘年会は開催されない。

   まずは素材メーカーの営業職の男性。基本的に在宅勤務だ。先輩社員に聞く限り、以前と比べてコミュニケーションの機会は減ったと話す。同じ部署のメンバーの「人となり」が分からず、小さな疑問も聞きづらい状況だという。社員同士の飲み会は自粛ムードだ。「職場の人との業務以外の関わりがなく、いつまでも仲良くなれません」と嘆く。忘年会が開催されないことについて、

「職場での宴会を経験しておらず、今後忘年会が再開された時にどう振る舞えばいいのか分からない。後々の人間関係にも響いてくるのではないかと懸念しています」

と不安を漏らした。

   テレビ局で制作に携わる男性は、研修期間中の在宅勤務を経て、現在は毎日出社している。「私の部署は和気あいあいとしていて、先輩や上司とのコミュニケーションはできていると感じます」と語る。ただ5人以上での会食は禁止で、他部署の社員と関わる機会はない。

「先輩社員を見ていると、部外の人とは飲み会で仲良くなったケースが多い。忘年会があればいいのに、と思っています」

必要性感じない社員も

   機械系メーカーで経理担当の男性は、上司の判断でほとんど出社しており、「業務上のコミュニケーション不足はほとんどない」と話す。ただ、周りに在宅勤務をしている社員は多い。飲み会もできず、仕事以外での社員との交流は皆無だという。

「忘年会という場で業務以外の話もできたら仲良くなれる。職場でも頼みごとをしやすくなるというメリットもあると思います」

   このように、普段コミュニケーションが取れている・いないを問わず、忘年会が親交の場だとして必要性を感じる新入社員はいる。ただ職場の空気によっては社員の考え方も異なる。

   同じく機械系メーカーの営業職の男性は、研修期間後は出社している。「業務については会話できています」と話す一方で、「自分の職場は人間関係がドライ」だと、こう明かした。

「先輩などを見ていると、あまり飲み会がコミュニケーションに役立つわけでもなさそうです。忘年会がなくても、集まる機会がなくて寂しいかもしれない、と思うぐらいですね」

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