原爆の日、東京は「黙とうサイレン鳴らない」? 実は30年以上取り組み続ける自治体も
2020年8月6日は、75回目の広島「原爆の日」だ。同日、犠牲者を追悼するための「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が広島市中区の平和記念公園で執り行われた。
「祈り」はツイッターにも広がっている。「世界平和」、「広島原爆の日」、「平和記念式典」といったハッシュタグがトレンドワード入りし、平和を願う呟きが多数投じられ、原爆が投下されたとされる「午前8時15分」に黙とうしたとツイートする人たちがいる。ただ、中には住む地域によって「温度差」を感じると驚きや寂しさを滲ませる人もいるようだ。
「東京では黙とうのサイレンが鳴らない」と言うけれど
「地元では毎年、サイレンと広報で黙祷の時間があったけど、東京来てからは一度もないような。Twitterがなかったらこの日を思い出せなかったな‥」
「広島だとサイレンが鳴って黙祷するんやけどね。東京だとなにも起こらないね」
「広島県の隣だった実家では8:15にサイレンが鳴ってみんなで黙祷してたけど、東京や埼玉に住んでそのサイレンが鳴らないことに驚いた。日本中で鳴ってるものだと思ってて」
「東京では黙とうのサイレンが鳴らない」とするツイートの一例だ。投稿者たちは、かつて「黙とう」のためのサイレンが鳴る地域に住んでいたと思われるが、東京では耳にしていないという。
本当に東京ではサイレンが鳴っていないかというと、そうではない。例えば東村山市は公式サイトに「平和祈念の黙とう」ページを設け、広島市と長崎市が被爆した8月6日と9日に「原爆投下時刻に市内全消防団の協力により、サイレンを1分間連続吹鳴」していると説明している。いつから、なぜ取り組み始めたのか、同市に取材した。
「記録に残っている範囲ですが、1987(昭和62)年に核兵器廃絶平和都市宣言を行い、その翌年の8月6日から毎年続けています。今年も市全体に届くよう、サイレンを鳴らしました」(市民相談・交流課担当者)
8月6日、8月9日、8月15日に黙とう呼びかけ
前出の担当者によると、東京都のほとんどの自治体で「原爆の日にちなんだ黙とうの呼びかけ」が行われているという。記者が調べた限りでは、例えば調布市は「調布市の平和施策」の一環として、毎年8月6日(広島原爆の日)、8月9日(長崎原爆の日)、8月15日(終戦記念日)に「防災行政無線による黙とうの呼びかけ」をしていると公式サイトに掲示している。
三鷹市も公式サイトで「黙とうにご協力をお願いします」とお知らせを出している。調布市と同じ、8月6日、8月9日、8月15日に「恒久平和を祈り、三鷹市防災無線により下記の日程で1分間の黙とうを行います」とある。多摩市も同様だ。8月6日、8月9日、8月15日に防災行政無線を使っての「黙とうの呼びかけ」を一斉放送している。
サイレンや防災無線の有無に限らず、平和を願って黙とうを捧げたい。