岩手県出身者「初のコロナ感染」に何思う 「お盆は帰省しない」も「正直ほっと」

   全国で唯一新型コロナウイルス感染確認ゼロだった岩手県で2020年7月29日、初の感染者が報告された。

   8月のお盆が近づいてきた時期だったことから、ツイッターには「岩手県民の本音は、『これで最初の汚名を着ることは無くなった!安心したあ、息子娘よ帰省OKだぞ』なのかなあ」、「岩手に帰省しやすくなるね」という書き込みが見られる。岩手出身者たちは実際どう思っているのか、胸中を聞いた。

画像は岩手県の公式サイトのスクリーンショット
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「感染者を出してはいけない」雰囲気感じた

「本当に不謹慎ではありますが・・・『ほっとした』というのが正直なところです。感染者第一号が岩手在住の両親だったらどうしようと思っていました」

   大阪市に住む女性は記者の取材に、こう答えた。5月15日に岩手県の達増拓也知事が「第1号になっても県はその人を責めない」、「コロナかもと思ったら相談してほしい」と呼びかけたこと。だが女性は、「そうは言っても『感染者を出してはいけない』というぴりっとした雰囲気は感じていた。これで『感染者ゼロ』という精神的な重荷から解放されると思った」と話した。

   女性は毎年お盆に帰省している。ツイッターには「岩手に帰省しやすくなるね」という意見があるが、と尋ねると「そう考える人もいるだろうなと思うが、高齢の親にうつしたくないので私は帰省しない」と話した。いつも車で帰るため「県外ナンバーが親の家に駐車すること」を避けたいのもあるという。

「近所にどう受け止められるかわかりません。私は一時的に帰るだけですが、両親は地域に根ざして生きていくわけです。同じ年代のお友達と日頃親しくしていることを思うと、娘の私が水を差すわけにいきません」

もう「コロナは他人事」じゃない

   岩手県で感染者が出たという報道に、「特に驚きや、心理的なつっかえが取れることはなかった」と話すのは、現在東京都在住の男性。「そもそも感染者ゼロは一切信じておらず、たまたま検査結果陽性の人が出ないだけで、感染者は他県と同様にいると考えていた」ためだ。帰省したい気持ちは強くなっているが、7月に東京の感染者が増加したタイミングで諦め、岩手の実家の家族にも伝えていた。「今は我慢の時期」ととらえている。

「実家の家族とは頻繁にやりとりをしています。一番気にしたのは感染者が近所の人かどうか。両親には『見舞いに行けないから、とにかく体を大事にしてほしい』ことと、『外出は最小限にし続けるよう』お願いしています」

   岩手に住んでいる人たちの気持ちも聞いた。40代女性は「『感染者ゼロ唯一の県』というプレッシャーはありましたが『コロナは他人事』感も持っていたので、そうではなくなった事で恐怖を感じます」と、ウイルスの感染リスクがにわかに現実味を帯びたことへの不安を吐露した。

   もう一人、30代女性は「とうとう出たか、と思った。(感染者ゼロ唯一の県だったことについて)プレッシャーはなかったがある種の誇りみたいなものは感じていたので、残念だった」と明かした。東京在住の兄がいるが「今年は帰省しないのではないか」と話した。

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