「大阪コロナホテル」の深き悩み 「風評被害」の次は「Go To キャンペーン」で

   政府が2020年7月22日から始める観光支援策「Go Toトラベルキャンペーン(以下、Go To)」。東京都の新型コロナウイルス新規感染者が7月9日から4日連続で200人を上回るなど、世間の危機感が強まる中での断行にインターネット上では反発が起きている。

   宿泊業ではどう受け止めているのか。7月14日、公式ツイッターでGo Toについて「あーん!!難しい!!!」とジレンマを爆発させた大阪コロナホテル(大阪市)に取材した。1月27日に「コロナウイルスと当館、大阪コロナホテルは全く関係ありません...!!!」という投稿で注目を集めたホテルだ。

新大阪駅東口近くにある大阪コロナホテル
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Go To開始直後「4連休」の予約件数は

「運営サイドからすれば、『今』1円でも多く売り上げが上がる見通しが立つ。というのが非常に有難いです」
「今じゃない!感染のリスクが増えるだけ!そのお金を医療従事者に!全部すごく分かるんですよね...。日々色んなお客様を受け入れる我々ホテル従業員としても、怖いものは怖いです...」

   大阪コロナホテルの葛藤ツイートの一部だ。Go Toの実施タイミングについて「今」であることの重要性を訴えながら、同時に「今ではない」という指摘に理解を示してもいる。7月22日以降の予約はどの程度入っているのか、大阪コロナホテルのツイッター担当者に取材すると、

「たくさん予約が入っているわけではありません。他の日が稼働率2割くらいのところ7月23日からの4連休は4割程度と、若干上がっているくらいです。Go Toはありがたい部分はありますが...手放しで喜べることではないですね」

と実情を明かした。

「名前が名前なので、うちが感染者を出すわけにいかない」

   大阪コロナホテルは以前、ホテル名に「コロナ」と入っているため「縁起わるそう」、「こわー!」とツイッターであらぬ風評被害を受けた。担当者は「名前が名前なので、うちが感染者を出すわけにいかない」と、フロントに飛沫防止シールドを設置したり、空間除菌剤を導入したりとさまざまな感染防止対策を行っているという。

「感染リスクと売り上げと...常に板挟みで、紙一重の選択の連続です。本当に難しい。他のホテルからも『今予約がないと正直きつい』という話を聞きますし、明日は我が身だなと思います」

   実際、ホテルでは一時的休業を考えた時期があった。ただ当時、事情があり母国に帰れない外国人などが長期滞在先として宿泊していたことから「命を預かる施設」として稼働し続けた。

「うちもどのくらいもつのかわかりませんが、ここまで色々なことが起きている影響で社員が一丸となり、スピード感をもって日々業務に向き合えるようになりました。Go Toにまつわる情報を日々仕入れ、状況に合わせて対応していきます」

   担当者は、こう語った。

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