■宝塚記念「カス丸の競馬GI大予想」 サートゥルナーリアか、牝馬2強か

   カス丸　はーい、ぼくカス丸きゃすう。今年上半期のGIもグランプリ・宝塚記念（2020年6月28日、阪神競馬場、芝2200メートル）で終わりだじぇい。ついにコロナのせいで最後まで無観客だったきゃすう。馬たちのためには人間様のバカ騒ぎがなくてとってもよかったけど、なんだか寂しいところもあるじぇい。人間様も早くコロナ退治ができないのかな。ぼくらイヌ族は今のところ平気だけど、秋のGIまでには退治してほしいきゃすう。で、今年前半のチャンピオン決定戦、カスヨ姉さんは本命◎クロノジェネシスだじぇい。

サートゥルナーリアの心配な点

   カスヨ　カス丸が言うように、ほんとにあっと言う間ね。もう宝塚記念なんだもの。トシをとるわけだわ。わたしもガジュマル爺みたいになっちゃうのかしら。おお、オソロシイ、ヤダヤダ、やめて。思うだけで身震いするわ。

   カス丸　カスヨさん、歳の話じゃなく、早く予想について話してきゃすう。

   カスヨ　あら、そうだったわね。宝塚記念の狙い方はね、まずは牝馬が強いということね。昨年勝ったリスグラシューはじめ、勝利はできなくとも３着以内の馬券に絡んだ馬はたくさんいるわ。牝馬のレベルが上がっていることと梅雨の蒸し暑いのに牝馬が強い、ということがあるんじゃないかしら。そして今年の筆頭がクロノジェネシスなのよ。 この馬は今年に入って、京都記念（GII、京都、2200メートル）1着、大阪杯（GI、阪神、2000メートル）2着と安定した成績を残しているわ。週末は悪天候の予報だから、レース当日は馬場が悪いことが予想されるけど、父はバゴ、母父はクロフネと道悪に強い血統よ。実際に重馬場の京都記念や稍重の秋華賞（GI、京都、2200メートル）を勝ってきたから、馬場が荒れても苦にしないタイプね。外の8枠に入ってしまったんだけど、8枠は過去10年で7頭の勝ち馬を出しているから心配ないんじゃないかしら。この馬の面白いところは、牡馬混合戦になると、牡馬（オス）に先着を許したことが無いっていうことね。魅力的でしょ。

   カス丸　ふーん、道悪巧者ってやつきゃすう。爺の本命◎も牝馬だじぇい。ラッキーライラックで決まりきゃすう？

   ガジュマル爺　わしは、クロノジェネシスよりラッキーライラックのほうが強いと思うとる。前走の牡馬相手じゃった大阪杯で勝利したのが大きい。クロノは２着じゃった。その後のＧＩレースの天皇賞やヴィクトリアマイル、安田記念と出走できるはずのレースをすべてスキップして、ここに照準を合わせてきたんじゃ。安田記念（GI、東京、1600メートル）で負けたアーモンドアイもレースの間隔を開けるために、ここに出てくれば疲れが残らず、あんなレースをしなかったはずじゃ。わしが口を酸っぱくして言うた通りになったわけじゃ。これでGI8勝は絶望的になったというもんじゃ。ともかくラッキーライラックはローテーションがいいんじゃ。おまけに阪神コースも3勝2着1回と合っておる。大阪杯のように先行して抜け出した脚の力強さは、やんちゃな父オルフェーヴル（2012年の宝塚記念を2馬身差で圧勝）を感じさせるもので、父娘制覇も十二分に可能というもんじゃな。

   カス丸　1番人気が予想されるサートゥルナーリアは爺もカスヨさんも単穴▲だじぇい。いつも1番人気を本命にする爺はどうしたの。なにか不安でもあるきゃすう？

   ガジュマル爺　カス丸、何回も同じことを言わせるんじゃない。わしは1番人気じゃなくて1番強い馬を本命に選んどるんじゃ。たしかにサートゥルナーリアはいまや日本ナンバーワンの牡馬じゃ。これまで左回りに難点があったんじゃが、今年の金鯱賞（GII、中京、2000メートル）を圧勝して、それも解消したんじゃ。まあ、右側のトモ（腰から尻にかけての臀部全体）が弱いといわれておったんじゃが、それもなくなっていよいよ日本の王者になる時がきたわけじゃ。いまならアーモンドアイにもサシでやって勝てるはずじゃ。さっき言うたように、安田記念の時に、アーモンドアイは疲れが残っていたんじゃ。レース後、調教師は「目に見えぬ疲れがあったのかもしれない」とコメントしておったが、それを見つけるのが調教師の仕事じゃろ、とわしは言いたい。これだから、あの陣営は信用できんのじゃ。負けて当然じゃろ。ついでに言うと、アーモンドアイ陣営は秋にGI8勝という史上初の快挙をやると豪語しておるが、わしはそれはもうムリだと予言しとくぞ。理由は簡単じゃ。若い世代がどんどん強くなっておるからじゃ。牝馬では安田記念でアーモンドアイに完勝したグランアレグリアがおるし、距離が長くなればこのサートゥルナーリアがおる。アーモンドアイ陣営は秋の天皇賞→ジャパンカップ→有馬記念のいずれかで勝とうとしておるようじゃが、3歳にはコントレイルやデアリングタクトといった完成度の高い超一流馬が出てきておるから、そうスンナリとはいかんはずじゃ。へたをすると、安田記念の時のように敗北を重ねて引退ということもあるわい。GI8勝だけを目指すならエリザベス女王杯に出るのが一番と思うんじゃが、どうもプライドが許さんようじゃから道は険しいぞ。さて、サートゥルナーリアなんじゃが、昨年暮れの有馬記念でアーモンドアイに先着（2着）しておる。宝塚記念は有馬記念に似たレースじゃから、この馬には合っておるはずじゃ。しかも問題とされた左回りじゃなく、右回りじゃからなおいいんじゃ。ただし、道悪のレースをしたことがないんじゃな、この馬は。たしかに父がロードカナロアで、母が日米オークス優勝のシーザリオと両方ともパワーとスタミナのノーザンダンサーの血がたっぷり入っておるから大丈夫とは思うんじゃが、そこが気になるわけじゃ。

   カス丸　ふーん、アーモンドアイが負けると、なぜか爺は興奮するじぇい。カスヨさんの対抗〇はブラストワンピースだよ。一番外枠だけど大丈夫きゃすう？

狙い目は中山に強い馬

   カスヨ　宝塚記念の狙い方の二つ目は、爺も言っていたけど有馬記念とコースやレース展開が似ているということね。コーナーが多くて、最後の直線が短いうえにゴール前に急坂があるわ。タイムも最後の上がりが結構かかるスタミナ勝負ということね。だから有馬記念なんかの中山で強い馬が狙い目よ。まず、ブラストはね、2018年の有馬記念の勝ち馬よ。で、その後、洋芝の札幌記念（GII、札幌、2000メートル）や稍重馬場のAJCC（GII、中山、2200メートル）を勝つといったように力のいる馬場で力を出してきたわ。高速馬場の瞬発力勝負になると分が悪いんだけど、道悪の持久力勝負になれば力を発揮するタイプなのね。それと宝塚記念はね、5歳馬の成績が良いのよ。ブラストももう5歳なんだけど、3歳時の有馬記念以来となるGI2勝目が見えてるわ。大阪杯では掲示板をはずして、鞍上のカワタちゃん（川田将雅騎手）も中央の芝GIでは33連敗中と調子がいまいちなんだけど、そろそろという頃合いよね。人気が下がりそうな今回がねらい目ということね。

   カス丸　爺の対抗〇はグローリーヴェイズだじぇい。昨年暮れのGI・香港ヴァーズ（2400メートル）を勝利して、半年ぶりのレースだけど不安はないきゃすう？

   ガジュマル爺　その香港ヴァーズじゃが、2着がラッキーライラックだったんじゃ。結果は3馬身2分の1という決定的な差をつけて、グローリーの勝ちじゃ。まあ、こっちを本命◎にしてもいいんじゃが、ラッキーライラックとの差は、カス丸が言うようにローテーションなんじゃ。半年ぶりじゃからレース感が心配じゃな。加えて、広い京都の外回りコースが得意じゃから、少々トリッキーな阪神コースが合うかどうか、という点もあるんじゃ。

カス丸　宝塚記念は中穴がよく勝つレースだじぇい。今年はどんなのがいるきゃすう？

   カスヨ　わたしは先ずはキセキだわ。菊花賞の泥沼レースを勝ったことがあるんだから、どんなに雨が降っても大丈夫。心配なのは、当日のテンションやゲートをキチンと出ることができるかどうか、だわね。かからずに走ることができれば持久力は最上位クラスなので、昨年のように馬券に絡む可能性は十分よ。次にワグネリアンね。皐月賞以外では掲示板を外さない安定した走りをしている馬ね。でもダービーを勝って以来、勝ちきれなくなっているわ。今年ダービー2勝目をあげて絶好調なユウイチちゃん（福永祐一騎手）の一発を期待するわ。 最後は1枠1番に入ったトーセンカンビーナね。これは大穴よ。目立たないけど、実は阪神大賞典（GII、阪神、3000メートル）2着、春の天皇賞（GI、京都、3200メートル）5着と古馬になって成績が充実してきているのよね。角居厩（きゅう）舎3頭出しの中では一番人気が無いと思われる馬だから、絶好の狙い目よ。

   ガジュマル爺　カスヨが話しておった宝塚記念の狙い方でいうと、ステイゴールドの仔が一番成績がいいんじゃ。今年はスティッフェリオだけじゃな。前走の天皇賞・春では、最後の直線で先頭に立ったんじゃが、最後の最後にフィエールマンにハナ差かわされたんじゃ。あれは実に惜しい2着じゃった。阪神コースもステイゴールド産駒らしく2勝2着1回（4着以下3回）と好走しておる。前走の激走の反動がなければ、ここでもあっと言わせてくれる可能性十分じゃ。もう一頭は道悪に強いペルシアンナイトじゃな。2017年のマイルチャンピオンシップ（GI、京都、1600メートル）を勝ったGI馬でマイル戦までのスピードタイプのように思われておるんじゃが、3歳時（2017年）の皐月賞（GI、中山、2000メートル）でアルアインの2着、18年の大阪杯でもスワーヴリチャードの2着と距離が伸びても好走しておるんじゃ。今度の2200メートルならギリギリもつじゃろ。1枠2番の枠もよく、ベテラン、和田竜二騎手の腕なら、内ラチ（柵）沿いの最短コースを走って2着、3着は十分狙えるはずじゃ。大穴なら、この馬できまりじゃ。

   カス丸　うーん、牝馬が強そうだじぇい。でも、ここは有馬記念で2着のサートゥルナーリアに頑張ってもらうきゃすう。本命◎でいくじぇい。