AI、5G、ドローン、そして... 「あの手この手」でコロナと戦う中国を知る
J-CASTトレンドでも執筆する経済ジャーナリスト・浦上早苗氏が初の著書を上梓した。タイトルは「新型コロナVS中国14億人」(小学館新書)だ。
「中国だから起きた」の考えが世界拡散の一因か
中国・武漢から感染が拡大した新型コロナウイルス。日本では2020年1月16日に国内初の感染者が確認されて以降、2月に入るとクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の集団感染が判明、以後全国各地で感染が広がり、4月7日には7都府県で緊急事態宣言が出された。
では、日本より前に感染が広がった中国はウイルスとどう向き合ったのか。本書の序章で浦上氏は「最初に感染が爆発した湖北省以外の都市で、中国は迅速に拡大を食い止めている」と説明。加えて「世界で最初に新型コロナとの戦いに直面した中国が繰り出した対策は、その後多くの国のスタンダードになっている」とも書いている。
J-CASTトレンドが浦上氏に聞くと、「日本より2か月先に感染が拡大し、経済再開を始めた中国で、企業や個人がどんな取り組みをしているのかはほとんど知られていません」と指摘した。中国の専門家は、日本の厚生労働省が認める2週間前に「ヒトヒト感染」が起きていることを明言していたという。浦上氏自身、ウイルスが「『日本に入ってくる』との前提で、1月にマスクを購入し、2月初旬には子どもの休校を見越して」準備していたと話す。
J-CASTレンドでも、『「新型肺炎」初期は風邪、インフルエンザと区別できない 中国当局の専門家「ワクチン」見通しも語る』(2020年1月29日付)をはじめ数回にわたって記事を公開。日本でウイルスに対する警戒感がさほど強くなかった時期から、警鐘を鳴らしてきた。
「『中国だから起きた』と多くの国が考えていたことが、世界に拡散した一因でもあると思います」
第2波は「変わるための巨大なチャンス」
中国では、具体的にどのような対策が取られたのか。本書で挙げられているのは、「マスクを外すとドローンが警告」「GPSで個人の感染リスクを追跡」「AIの画像診断で感染を判断」「5Gネットワークで感染者を遠隔診療」「病院ではロボットが看護師に」などだ。一方で、「故意のウイルス拡散に対して最高刑死刑の厳罰の処す方針を表明」した地域も。
国や企業、個人のこれまでの取り組みや対応力を測る「中間テスト」――。浦上氏は、これまでの新型コロナをめぐるさまざまな事柄をこう評する。「期末テスト」は、この秋から冬にかけてやってくるとみられる「第2波」と位置づける。そして、最後にこう述べた。
「第2波を防御するだけではなく、大波のようなコロナとの戦いに呑まれて溺れるか、それともサーフィンのように乗りこなし、次のステージに行けるか。中国にとっても日本にとっても、変わるための巨大なチャンスであり、変われなかったら国としての危機に瀕すると考えています」