■皐月賞「カス丸の競馬GI大予想」
3強激突! 勝つのはこの馬!
カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週の「桜花賞」は道悪のなか、デアリングタクトが最終コーナー12番手からすさまじい末脚で勝ってしまったじぇい。誰も当たらなかったきゃすう。雨が降ると、当たらないじぇい。今週は皐月賞(2020年4月19日、中山競馬場、芝2000メートル)だよ。そして天気予報はまた雨だじぇい。カスヨ姉さん、雨が降ったときはどうやって予想したらいいきゃすう。教えてほしいじぇい。
カスヨ そうね、デアリングタクトの末脚を見てたら、3年前の菊花賞でキセキが勝ったレースを思い出しちゃったわ。あのとき、どしゃぶりの中を泥まみれになりながらキセキが一頭だけ鬼気迫る勢いで追い上げて勝った姿と二重写しになったわ。まあ、雨の時はまず逃げる馬か先行する馬が残る確率が高まるってことね。桜花賞ではスマイルカナとレシステンシアが逃げたけど、この二頭は最後まで残り、2、3着だったわ。それと、パワーのある馬が強いってことね。桜花賞も皐月賞もまだ3歳馬だから、道悪の経験がない馬のほうが多いし、適性が分からない中で予想しなけりゃならないってのが難しいところね。こういう場合は、パワーがあるかないか、パワーがあるってことは馬格がある、つまり体が大きいってことがあるわね。桜花賞でいうと2着のレシステンシアは全18頭のうち、体重が2番目に重かったし、優勝したデアリングタクトは6番目だったわ。
「速い馬が勝つ」レース
カス丸 それでカスヨさんの本命◎は、皐月賞出走予定馬で体重が一番重いサリオスだじぇい。体重で選んだきゃすう?
カスヨ そんなことでもないんだけど、やはりスピードがあるからね。サリオスはデビュー以来、3戦3勝で2歳のGI朝日杯フューチュリティステークス(FS、阪神、1600メートル)の勝ち馬よ。今回、1番人気が予想されてるコントレイルのように派手な勝ち方はしてないんだけど、サウジアラビアロイヤルカップ(RC、GIII、東京、1600メートル)と朝日杯ではレコード勝ちと、スピードが抜群なのよ。昔から皐月賞は「最も速い馬が勝つ」といわれているから最有力よ。鞍上もオーストラリアからわざわざダミアン・レーン騎手がやってきて新馬戦以来のタッグを組むわ。ハーツクライの仔は皐月賞では成績がいまいちなんだけど、このサリオスはこれまでのハーツクライ産駒とは一味違うのよ。ハーツクライ産駒は全体的に遅咲きなんだけど、サリオスは2歳チャンピオンだし、早熟のところがあるのね。去年の朝日杯以来のレースとあってローテーションが嫌がられて人気は2~3番人気になりそうなんだけど、馬券的にもおいしいわよ。
カス丸 ガジュマル爺の本命は、いま名前が出たコントレイルだよ。そんなに強いきゃすう?
ガジュマル爺 ともかく今年の見どころは2歳GI馬の激突じゃ。朝日杯FSのサリオスか、ホープフルステークス(中山、2000メートル)のコントレイルか。で、わしはコントレイルを上位にとったということじゃ。コントレイルは、新馬、東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII、東京、1800メートル)、ホープフルSと3連勝、負けなしじゃ。前走で皐月賞と同じ馬場、同じ距離のホープフルSを経験している分、サリオスよりも上位と見とるわけじゃ。レース運びは、好位につけて、残り3ハロン(最後の600メートル)を33秒台の脚で抜け出す競馬は、他馬が真似できない爆発力があるわい。まあ、去年暮れ以来のレースとあって、間隔が開いたこと、またこの10年3着すらない1枠1番に入ってしまったのが気にはなるんじゃが、鞍上の福永祐一騎手が落ち着いて乗れば心配は無用じゃ。福永騎手自身、勝てばクラシック完全制覇の勲章が手に入るから、ヘマはせんじゃろ。
カス丸 カスヨさんの対抗〇はヴェルトライゼンデだじぇい。なんで?
カスヨ この馬はね、デビュー以来、連(2着以内)を外していないのよ。いま名前が出たホープフルSではコントレイルに肉薄する2着だったわ。それと、ぶっつけ本番のコントレイルに比べて年が明けてからきちんとステップレースを使ってきてるから上積みが見込めるわね。雨が降っても重馬場、稍重の経験もあり、どんな馬場にでも適応できそうよ。鞍上は三冠レースに強い池添謙一騎手が引き続き手綱をとるのもプラスに働くわね。
カス丸 ふーん、爺の対抗は〇クリスタルブラックきゃすう。中山で連勝中だよ。
ガジュマル爺 そうなんじゃ、この馬は新馬戦、今年1月の京成杯(GIII、中山、2000メートル)とデビュー以来2戦2勝。いずれも、後方から一気の脚で制してきておる。京成杯を使っておるから皐月賞と同じ舞台を経験している点が強みじゃ。京成杯で2着に負かしたスカイグルーヴは父エピファネイア、父の母シーザリオ、祖母にアドマイヤグルーヴ、曽祖母エアグルーヴ、4代母がダイナカールという超良血馬じゃ。稍(やや)重の馬場で湿っておったんじゃが、大外(コースの一番外側)を瞬く間に抜かしていった脚は強烈じゃった。まだキャリアが浅いんじゃが底を見せておらず、まあサリオス、コントレイルの2強に割って入るなら、この馬ということじゃ。
カス丸 カスヨさんの3番手、単穴▲はダーリントンホールだじぇい。最近、皐月賞と相性のいい共同通信杯の勝ち馬きゃすう。
カスヨ そのとおりよ。カス丸も勉強してるわね。最近ではこのレースからのステップで良い成績を残す馬が多いのよ。今年はレース前日の土曜日が大雨予報で、レース当日も馬場が荒れたままのはず。だから馬場が稍重だった共同通信杯を勝ったというのはプラス点があるってことね。鞍上もミルコちゃん(Mデムーロ騎手)で、GIに強いからいけるはずよ。
弥生賞馬はなぜ勝てなくなったのか
カス丸 爺の単穴▲は弥生賞(GII、中山、2000メートル)を勝ったサトノフラッグだよ。
ガジュマル爺 そうじゃ。3連勝でサリオス、コントレイルの2強崩しの最有力候補にのし上がってきた馬じゃな。2着馬のワーケアをあっさり抜いていった脚は見どころが大いにある馬じゃ。これまでは最終コーナーで先頭に並びかけていくレース運びだったんじゃが、クリストフ・ルメール騎手がどんなレースをするか、同じようにいけば末脚はディープインパクトとの仔じゃから強烈なものがあって期待できるというもんじゃ。
カスヨ でも、ここ10年をみると、弥生賞馬は皐月賞が勝てなくなってるわね。ちょうど10年前にヴィクトワールピサが勝った後、勝利がないのよ。というのも、同じコースを使っても弥生賞と皐月賞って、まったく違ったレース展開になるのよね。弥生賞はレース途中のスピードが緩くなって最後の上がり3ハロン(最後の600メートル)勝負みたいなレースになってしまうわ。これに対して、皐月賞はレース途中もスピードが付いたまま最後までスピード勝負って感じかしら。たとえば、7年前に勝ったロゴタイプ。この馬は超一流とまではいえなかったけど、レース展開の仕方が皐月賞を勝つ秘訣を見事に示してくれたわね。具体的にいうと、4年前にロゴタイプはGIレース安田記念(東京、1600メートル)を勝ったことがあるわ。このとき、なんと8番人気だったのね。でも、なぜ勝てたのか。それは最初から先頭に立ち、最後まで他の馬に抜かせなかった走りをしたのね。つまり先頭に立って、ある程度のスピードを出すわけ。すると、後ろで追走する馬たちは追走するだけでエネルギーを使ってしまい、最後の直線に入ったときにはいつもの鋭い脚が使えなくなってしまうわけ。こういう走りができる馬が皐月賞には合っているのよ。で、サトノフラッグなんだけど、そういう走りができるかどうかってことなのよね。確かに弥生賞ではディープインパクトが勝った時のように、3コーナーから徐々に前に進出して最終コーナーではもうトップに立って、最後の直線で他馬を引き離したのは強かったわ。しかも、馬場が重でね。同じ馬場が湿った皐月賞といえば最近では、2年前のエポカドーロが勝った年ね。この時は稍重で、前半1000メートルが59秒2、後半が61秒6だったわ、サトノフラッグが勝った弥生賞は61秒1-61秒8ね。やはり前半が2秒近くも遅いのよね。どうしても途中が緩むんだわ。だから前半が速くなった時に同じ脚を使えるかどうか、だわね。そこのリスクを考えるとわたしは押さえ△までよ。
カス丸 弥生賞馬が勝てない理由が少しわかったじぇい。あと穴馬はどんなのがいるきゃすう。
カスヨ さっきの話の続きでいくと、最近、相性がいい共同通信杯とスプリングSはペース配分が皐月賞に似ているところがあるのよ。だから、この両方のステップレースを使った馬に注目ね。まずは、スプリングSの勝ち馬、ガロアリークよ。コントレイルが勝った暮れのホープフルSで2着だったヴェルトライゼンデを破ったところに魅力があるわね。それともう一頭は△ビターエンダーよ。さっきから言っている共同通信杯で勝ち馬とタイム差なしの2着よ。しかも逃げて粘っているから見込みがあるわね。
ガジュマル爺 わしは共同通信杯で1番人気じゃったマイラプソディじゃな。結果は人気を裏切り4着じゃったが、デビュー戦からオープン特別、GIIIの京都2歳ステークス(京都、2000メートル)を3連勝しておる。鞍上も新馬戦から手綱を取る名手、武豊騎手なら、人気を落としての一発を秘めておるわい。それと、1枠2番に入ったレクセランスじゃな。この馬も、新馬、500万下特別、オープンと3連勝中じゃ。どのレースも、ブッチギリというような派手さはないんじゃが、きっちりと差し切る勝負強さがある。父ディープインパクトの血を引く魅力もあるし、内々を突いて最後の最後に、直線抜け出せれば一発があってもおかしくはないわい。
カス丸 有力馬がたくさんいるじぇい。でも、今年は馬場が湿るから湿った馬場で勝ってきた馬を選ぶきゃすう。ここは重馬場で最速の末脚をみせたサトノフラッグが本命◎だじぇい。