「新型コロナじゃない、花粉症です」 マスク姿でゴホゴホ、誤解とくには「バッジ」を
電車でせきをすると、周囲からの視線が怖い――。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、花粉症やぜんそくなど日常的にせきの症状がある人からは悩みの声が聞かれている。そうした中、群馬県沼田市の観光協会が販売する「咳エチケットバッジ」が「電車で役立つ!」と話題だ。
かわいらしい真田忍者のイラスト
バッジには、戦国時代に沼田を治めた「真田家」にちなみ、同家で活動していたとされる忍者のイラストが描かれている。イラストの周りには「花粉症でござる(ALLERGY)」「ぜんそくでござる(ASTHMA)」「予防でござる(PREVENTION)」と症状・目的が日英2か国語で記されていて、せきやマスク着用の理由を周囲に知らせることができる。
真田家の家紋「六文銭」デザインの頭巾を被った忍者の表情も、「花粉症」なら鼻水を出した困り顔、「ぜんそく」なら泣き顔、「予防」ならすまし顔になっている。なぜか「変装でござる(DISGUISE)」と書かれたバッジもあるが、ここではサングラス姿の忍者や頬を腫らした忍者が描かれている。
また、かつて存在した「沼田城」をイメージしたイラストと、その城主・真田信幸(真田幸村の兄)のシルエットを描いたバージョンのバッジも展開する。
2020年3月7日から、市の観光案内所で販売を開始。市観光協会の公式ツイッターが翌3月8日に販売のお知らせを投稿すると、ツイッターユーザーからは「かわいい!!凄くいい!」「花粉症持ちだから電車で役に立つ!」などの反響が寄せられた。
商品化のきっかけは「山手線のトラブル動画」
沼田市観光協会の担当者に取材すると、商品化のきっかけは20年3月はじめにテレビなどが報じた「山手線でのトラブル動画」だったという。動画の内容は、マスクをしている女性の乗客がせきをしたことに対し、男性が「うるさい」と注意。それを見ていた他の乗客と男性との間でけんかが起きたというものだ。
担当者は、
「マスクをした状態でせきをすると『あの人は新型コロナウイルスかな』と疑心暗鬼になってしまう人がいます。でも、実際には花粉症やぜんそく、予防のためにつけている場合もある。そういうときにこのようなバッジがあった方が和むかなと思い、作りました」
と語る。
バッジの着け方については、
「バッグなどに着けていただければ、周囲に症状を知らせることができます。他のお客さんもそれを見て『ああそうなんだ』と、ほっこりした気持ちになるのではないでしょうか」
とした。
20年3月7日に発売してから「ぼちぼちと売れている」状況だという。なお「変装でござる」のバッジは、担当者いわく「遊びで作った」とのことだ。
価格はいずれも1個300円(税込み)。通販で販売していない。