気仙沼発「クリルオイルサプリ」 三陸のイサダ由来、DHAやEPAに加え新健康成分も
気仙沼水産資源活用研究会(宮城県気仙沼市)は、三陸沖で採れる「イサダ」由来のサプリメント「気仙沼クリルオイル」を2020年1月6日に発売した。2月6日に製品発表会が東京都内で行われ、同研究会の会長やクリルオイルの研究者、気仙沼市長らが出席した。
魚由来のものよりも吸収性が良い
クリルオイルとはエビに似た甲殻類のオキアミから抽出した油。健康成分のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が含まれ、海外では魚由来のものよりも吸収性が良いなど有効性が認知されサプリメントが流通している。「気仙沼クリルオイル」の原料は三陸沖でとれるオキアミ(イサダ)。気仙沼では、イサダ漁は2~5月に行われ、主に魚の撒きエサとして使われてきた。
気仙沼水産資源活用研究会の佐藤俊輔会長は、「イサダの需要が低迷し、たくさん採れても商売にならない現状がある。イサダ漁の衰退をなんとかしたい思いがあり、研究を始めた。三陸沖のイサダには8-HEPE(ハチヒープ)という新しい健康成分が含まれることがわかった」と発表した。
クリルオイルの研究者で岩手生物工学研究センターの山田秀俊研究員によると、三陸沖のイサダから見つかった健康成分「8-HEPE」はマウスの試験では脂質、コレステロール代謝への効果が期待され、健康的なダイエットに役立つ可能性があるという。「数万トンスケールのオキアミ漁場は世界で南極、カナダ、三陸の3か所だけ。中でもEPA、DHA、アスタキサンチン、8-HEPEを一度にとれるのは三陸産のクリルオイルだけです」と説明した。
独自の商品を生み出すことが本当の復興になる
気仙沼市長の菅原茂氏は、サプリメントの発売について、「気仙沼は水産が経済の8割を占める町。水産加工品はまねされやすいので、自分たちでしか作れないものを商品にすることが本当の復興になるのではないかと思っている。今回、目標であったサプリメントを送り出すことができた」とコメントした。商品開発には3年を要したという。
1袋約30日分で、120粒入り。価格は5940円(税込)。販売はKESEMO MARINUS(宮城県気仙沼市)が行なう。
気仙沼水産資源活用研究会は、東日本大震災後に気仙沼市から「気仙沼の水産資源を新たな視点で活用しよう」との呼びかけに地元企業30社以上が応えて2013年11月に発足。「kesemo(ケセモ)」という独自ブランドを立ち上げ、産・学・官が連携し新商品を生み出してきた。ほかの商品にホヤから作った調味料や、サメから抽出したフカコラーゲン入りの化粧品などがある。