東京五輪の注目種目「トランポリン」体験記 初挑戦で「前方宙返り」目指し跳びまくったら...

   空中で曲芸のような美しい演技を行うトランポリン。2020年の東京五輪で、体操競技の中の一種目に数えられている。「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」の公式サイトによると、男子選手のジャンプの高さは地上8メートルにも達するほどダイナミックなスポーツだ。

   競技の様子を見ていると軽々と跳躍しているように見えるが、同サイトには「空中でわずかでも傾いたり姿勢を崩すと中央のゾーンに着床できないという繊細な一面も持っている」、「選手には卓抜したバランス感覚と運動能力が求められる」とある。その難しさを体感するため、記者は人生初のトランポリンに挑戦した。

「トランポランドTokyo Bayside」スタッフによるトランポリン実演
背中からトランポリンに着地し、反動で壁を駆け上がる
巨大なエアーバッグに背面から飛び降りられる
実際に上ってみると足がすくむ高さ
スタッフによる前方宙返りのお手本
19年4月にオープンした「トランポランドTokyo Bayside」
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中央から逸れてはいけないけど下は見ちゃダメ

   訪れたのは千葉県浦安市にある「トランポランドTokyo Bayside」。19年4月にオープンした屋内専用施設だ。純粋に跳ねて遊ぶことはもちろん、トランポリンをしながらドッジボールやダンクシュート、縄跳びができたり、巨大なエアーバッグに背面から飛び込む体験を楽しめたり、背中からトランポリンに着地し、弾みで壁を走れたりとさまざまなコンテンツが用意されている。

   スタッフから簡単な説明を受け、専用の靴下を履いていざトランポリンの上へ。競技用より跳ねない仕様になっているそうだが、少し弾みをつけただけで思った以上の高さが出る。恐怖で思わず下を見てしまい、バランスを崩してしまった。上手く跳ねるコツは、(1)肩から力を抜き、(2)顔を上げて遠くを見て、(3)まっすぐに跳ね上がるようにする。最初から高さを出そうとせず、まず足裏全体でトランポリンの中央を捉える感覚を体で覚える。慣れてきたら、飛ぶ時に手を下から上へまっすぐ上げて伸びるようにすると高さが出る。

   初心者でもできる、基本的な技を教えてもらった。着地の際に腰や尻、両手から落ちる「腰落ち」、膝から肩を一直線にして落ちる「膝落ち」、それらを立て続けに行う連続技だ。ここまでは、前述のコツを意識することで1、2回の練習でクリアできた。せっかくならアクロバティックな技を習得して帰りたい――。前方宙返りのレクチャーをスタッフに頼むと、今までとは打って変わってハードな練習が始まった。

初挑戦での成功者は3~4割、20回飛んだ結果は

   これまではトランポリンの中で動かず、中央で跳ねていればよかったが、踏み切りを考えながら移動しつつ、前方のエアーバッグへ向けて宙返りしなければならない。成功させるには、(1)トランポリンのぎりぎりラインでしっかりと踏み切り、(2)頭上に挙げておいた手を踏み切りの際に勢いよく振り下ろし、(3)跳躍したらひざを抱え込んで回転スピードを上げ、(4)地面が近づいてきたら足を伸ばして着地することが必要だ。

   記者は20回ほど飛び、体力の限界が来た。息が上がるだけでなく、足や腹部の筋肉が痛んで全身が重い。前方に宙返りすること自体は成功したが、回転速度と高さが足らず、どうしても膝が曲がったままの着地になってしまう。成功のための要点を全て押さえるのが難しく、考え過ぎて踏み切りが甘くなったり、体に力が入りすぎてしまったりしたのが原因のようだ。これは悔しい。

   かつてトランポリン選手だった店長によると「初回で前方宙返りを成功させられる人は3~4割」。「あとは回数を重ねて感覚を身に付ければ、次はできるようになる」とのことだった。

   見ている分には美しくダイナミックな競技だが、実演するとなると非常に高度な技術と身体能力が求められることがよくわかった。東京五輪での選手の躍動に期待が高まる。

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