■有馬記念「カス丸の競馬GI大予想」
アーモンドアイは勝てるか?
カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。今週はついにグランプリ、有馬記念(2019年12月22日、中山競馬場、芝2500メートル)だじぇい。なんと今年はGI馬が11頭も出るきゃすう。日本の実力馬が勢ぞろいだじぇい。超一流馬ばかりで目移りするきゃすう。買いたい馬がこんなにいたら、おカネがいくらあっても足りないよ~。
ガジュマル爺 カス丸、そんなことはないぞ。今年の有馬記念はアーモンドアイを選ぶか、捨てるか、この一点しかないんじゃ。馬券の買い方は2種類だけじゃ。わしはアーモンドを買わないほうでいくぞ。
アーモンドアイの心配な点
カスヨ ついに爺もどうかしてしまったわ。秋のGIがハズレ続きだからおかしくなったのかしら。アーモンドアイを買わないなんて、穴狙いのわたしでもできないわよ。どうして爺はアーモンドはずしなの?
ガジュマル爺 アーモンドは本来の予定では、有馬記念に出ないはずじゃったんじゃ。秋の天皇賞を勝った後、香港に遠征する予定が、発熱があったために急遽、予定を変えたわけじゃ。陣営はもう大丈夫というんじゃが、馬のピークをどこにもってくるのか、予定が狂ったことで馬の調教、ローテーションが変わったわけじゃ。有馬記念を勝つ馬はもう最初からここを狙って、逆算して秋のレースを計画するもんじゃ。1年で最高位のレースに位置付けられておる有馬記念は、そのくらい用意周到でないと勝てないわけじゃ。いくらアーモンドが強いといっても、本調子で出られるかどうか不安じゃな。それと中山競馬場が初めてというのが気になるんじゃ。中山の他のレースならまだしも、有馬記念というレースは2500メートルという中途半端な距離で、しかもスタート直後に右に曲がるトリッキーなコースなんじゃ。アーモンドはデビュー以来、東京を中心に阪神、京都といった最後の直線が広いコースで戦ってきたわけじゃ。有馬記念は小回りコースでコーナーが6か所もあるうえに、それほど広くはないし、まぎれも出るコースじゃ。競馬に絶対はないんじゃ。あの史上最強といわれておるディープインパクトが国内で唯一負けたのが、この有馬記念じゃ。しかも、あのときディープは順調そのものじゃった。それで負けたんじゃ。今回アーモンドは熱発した後じゃ。順調とはいえないなかで勝つのは至難の技じゃ。わかったかのう?
カスヨ そうね、そういう心配はあるわね。でも、わたしは捨てられないわ。押さえ△よ。アーモンドがなぜ強いのか。その理由はいくつかあるんだけど、他の馬と決定的に違うのは、脚の回転が速いのよ。NHKが以前に映像の分析をしていて、それを見ると、たとえば前脚の「蹴る→戻る」の動きを比較してるんだけど、アーモンドは他馬の前脚が戻ろうとする段階ですでに蹴り始めてるというくらい違うのよ。つまりそれほど回転が速いから他の馬はかなわないってことね。しかも、馬場が乾いていても湿っても同じように走れる強さがあるのよね。でも、脚についてもちょっと気になる情報があったわ。スポーツ新聞が書いていたんだけど、アーモンドの右前脚の蹄鉄を変えるらしいのね。中山は右回りだから右前脚のグリップを強くするというのは、わかるんだけど、なぜ今、変える必要があるのかしら。これまでだって右回りは勝ってきてるんだから、なにもこのタイミングで初尽くしをしなくてもと思ってしまうわね。陣営は完璧に完璧を求めているんだと思うけど、なにかイヤな感じがするわ。やっぱり今回は押さえ程度の評価になってしまうわね。
カス丸 うーん、なんだかアーモンドアイをどうするかが大問題のような気がしてきたじぇい。それで、カスヨ姉さんの本命◎はリスグラシューだよ。そんなに強くなったきゃすう?
3歳が今年も勝つ可能性
カスヨ リスグラシューは去年10月の府中牝馬ステークス以来、7戦して馬券をはずしてないわ。なによりここ2戦がすごいのよ。6月の春のグランプリ、宝塚記念(GI、阪神、2200メートル)では、それまでの戦法と違って2番手でレースを進め、最後は2着のキセキに3馬身差もつけての圧勝。前走、10月のオーストラリアでのコックスプレートでは初の海外GI制覇よ。このときは、後方から最後のコーナーを大外に回し、直線が200メートル足らずというトリッキーなコースであっという間に馬群を置き去りにして優勝。本当に力をつけてきたわ。ハーツクライの仔は晩成型といわれるけど、いま5歳でこんなに強くなるなんて誰も想像してなかったと思うわ。さすが、ハーツの仔というにふさわしい成長ぶりよ。海外帰りといっても、秋2戦目だから、疲れはないはずよ。
カス丸 アーモンドアイを捨てた爺は、本命がワールドプレミアだよ。大穴狙いきゃすう?
ガジュマル爺 有馬記念は過去10年で3歳がなんと半分の5勝をあげとるんじゃ。なぜ3歳が勝てるかというと、この時期になると3歳といっても古馬(4歳以上)と同じくらいの力量をもつほどに成長しとるんじゃ。それと背負う斤量が古馬より2キロも軽いんじゃ。同じ力の馬がいて、片方が2キロも負担が軽いんじゃ、普通に走れば軽いほうが圧倒的に有利じゃ。ワールドプレミアは今年の菊花賞(GI、京都、3000メートル)の優勝馬。去年の有馬記念を3歳で制覇したブラストワンピースは、菊花賞で4着じゃった。菊花賞と有馬記念は距離が違うが、スタミナが必要ということで連動しとるんじゃ。つまり、菊花賞で好走した馬は有馬記念も好走する傾向があるわけじゃ。今年は菊花賞の優勝馬が出てくるんじゃから、去年のブラストワンピースよりも強い、と判断してもいいわけじゃ。
カス丸 ふーん、3歳はそんなに強いきゃすう?爺はこの間、今年の3歳はレベルが低いと言っていたじぇい。それなのに対抗〇も3歳のサートゥルナーリアきゃすう。なんで?
ガジュマル爺 うおほん、それはカス丸の空耳じゃな。わしは覚えておらん。ともかく有馬記念は3歳が有利なんじゃ。サートゥルナーリアは菊花賞のトライアルレース・神戸新聞杯(GII、阪神、2400メートル)でワールドプレミアとヴェロックスに圧勝したんじゃ。ところが、菊花賞に出ておらん。陣営が距離を心配したといわれておるんじゃが、わしの見るところ、出ておれば圧勝したじゃろ。父はロードカナロアでアーモンドアイと同じ。ロードカナロアはたしかに短距離に強かった馬じゃが、母が日米の両オークスを勝ったシーザリオで、その父が菊花賞2着のスペシャルウィークじゃ。長距離も大丈夫なはずじゃ。ともかくサートゥルナーリアは中山競馬場が大得意。2戦2勝。しかも、皐月賞とホープフルステークス、つまりGIばかりじゃ。今回は枠も5枠10番でアーモンドアイの隣じゃ。アーモンドを見ながらレースができるぞ。
カス丸 カスヨさんの対抗はレイデオロだよ。去年、2着だったからきゃすう?
カスヨ 有馬記念はリピーターが多いレースなのね。わたしの記憶に残っているのは1990年代に走ったナイスネイチャね。3年連続3着よ。ここ10年をみるとキタサンブラックが3、2、1着。ゴールドシップが1、3、3着。ブエナビスタが2年連続2着。トゥザグローリーなんかは2年連続3着だったけど、人気は14、9番人気だったわ。今年参戦しているメンバーではレイデオロが昨年2着、シュヴァルグランが昨年、一昨年と連続3着ね。シュヴァルグランは一番外枠の16番に入ってしまったのと、もう7歳だから馬券になるのは厳しいけど、レイデオロは最近調子がいまいちとはいえ、来る可能性が十分よ。調教も元気いっぱいだし、不安はないわね。
カス丸 GI馬が11頭もいると、伏兵がたくさんいるじぇい。穴狙いのカスヨさんはなに?
ペースは速めで緩みがない?
カスヨ 有馬記念の勝利の原則は、最後の直線が310メートルしかなく、しかもゴール前に2メートルの上り坂もあるから、直線入口では前めにいないと勝てないことね。となると、逃げ、先行馬を落とすわけにはいかないわね。今年は逃げ馬が多いわ。まずはキセキよ。昨年5着、今年の上半期のグランプリ・宝塚記念では2着。それとアエロリット。秋の天皇賞(GI、東京、2000メートル)では逃げに逃げて3着。最後はアーモンドアイにつかまってしまったけど、逃げ足は抜群。この2頭がレースを引っ張るのは確実ね。だからペースは速めで緩まないから、後ろから直線一気はムリね。この2頭なんだけど、外枠に入ってしまったのが残念ね。特にわたしの大好きなアエロリットは15番、最外から2番目。でも、有馬記念は自分の好きな馬に夢を託すレースだから、アエロリットは馬券から外さないわよ。あとはフィエールマンね。本来なら、この馬がアーモンドアイ打倒1番手となっていたはずね。凱旋門賞で最下位。まあ、調教をみると、元気そうなんだけど、精神的なところが心配ね。一緒に凱旋門賞に行って惨敗したブラストワンピースが未だに立ち直れないのが本当に心配ね。過去にも凱旋門賞で負けて、その後立ち直れない馬はたくさんいたわ。マカヒキ、サトノダイヤモンド......。もう日本馬は世界一なんだから、いつまでも凱旋門賞にこだわる必要がないとおもうんだけどね。ともかくフィエールマンにはここで復活してほしいわね。今年の春の天皇賞や去年の菊花賞を勝ったときのように、最後の鮮やかな末脚は天下一品なのだから、差し切ってほしいわね。
ガジュマル爺 しつこいようだが、わしは3歳に期待じゃ。菊花賞3着のヴェロックス。クラシック3冠皆勤賞じゃ。すべて馬券になっておる。つまりヴェロックスの強みは、どんなレースになろうと必ず3着内にくる強さと器用さがある点じゃ。ここでも決してヒケはとらん。ダービーではサートゥルナーリアに先着し、神戸新聞杯ではワールドプレミアに先着しとる。底力はあるんじゃ。あとはステイゴールド産駒の2頭じゃ。有馬記念はオルフェーブル、ゴールドシップといったステイゴールドの仔たちが一番活躍しておる。エタリオウは去年の菊花賞2着。スティッフェリオは2走前のオールカマー(GII、中山、2200メートル)で勝っておる。カスヨが対抗に推しておるレイデオロに、有馬記念と同じ、この中山の舞台で先着しておるのは心強いわい。2頭とも運よく内側の2枠に入ったから、一発の可能性が十分なはずじゃ。
カス丸 うーん、アーモンドアイを切るか切らないか。でも、よく考えれば致命的な心配はないじぇい。やっぱり本命◎はアーモンドアイきゃすう。