ヤマザキマリ「いい風呂の日」にボサノバ大熱唱 漫画家とり・みきらとライブ
「テルマエ・ロマエ」作者のヤマザキマリさんと、漫画「クルクルくりん」などで知られる、とり・みきさん。現在、月刊誌「新潮」で連載中の歴史漫画「プリニウス」を共著する漫画家の2人がボーカルとギターを務めるバンド「とりマリ&エゴサーチャーズ」のライブが東京・代官山で2019年11月26日に行われた。
ライブの副題は「Homenagem a João-」。今年7月に死去したブラジルのボサノバ歌手・ジョアン・ジルベルト氏に敬意を表し、代表曲「Chega de Saudade(想いあふれて)」、「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」などをはじめとしたボサノバ音楽を演奏した。
「大体どの曲でも誰かが失恋していて...」
同バンドは2013年に結成。日本入浴協会が「よい風呂の日」として制定している4月26日に、毎年「ヤマザキ春のマリまつり」として定例ライブを行っているが、今年は日本記念日協会が「いい風呂の日」に認定している11月26日にも開催が決定した。ライブ当日は「テルマエ・ロマエ」第1巻の発売からちょうど10年目の記念日だが、それを祝して...というわけではなく、ヤマザキさん曰く「単に偶然が重なっただけ」だそう。
当日はヤマザキマリさん(ボーカル)、とり・みきさん(ギター)のほか、葛岡みちさん(ピアノ・アコーディオン)、伊藤健太さん(ベース)、そしてロックバンド「ウルフルズ」でドラマーを務めるサンコンJr.さん(ドラム)が出演した。会場のイベントスペース「晴れたら空に豆まいて」には50人を超える観客が集まり、バンドの生演奏や、ヤマザキさんととり・みきさんが曲間に繰り広げる軽妙なトークを楽しんだ。
公式ウェブサイトの自己紹介欄に「嗜好:昆虫 南米文学と南米音楽(特にブラジルとキューバ)」と書いているヤマザキさん。「ボサノバの神」と呼ばれるジルベルト氏を敬愛してやまないと言い、ライブ序盤にとり・みきさんから「ずばり『ボサノバ』とは何か」と問われると「サンバとジャズの要素を併せ持つ新しいリズム、風潮のこと」と一言。また
「ボサノバというと、大体どの曲でも誰かが失恋していて、別れた人のことをうじうじと未練がましく歌っているんですね(笑) 。明るいリズムとメロディーだから、あまりそういう印象はないかもしれませんが」
とエッジの効いた解説で観客から笑いを誘っていた。
ヤマザキさんはほとんどの曲を、ブラジルの公用語であるポルトガル語で歌唱。ただ英語、イタリア語、日本語、ポルトガル語を操るマルチリンガルであることから、つやっぽいハスキーボイスで「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」をフレーズごとに4言語で歌い分け、「言語が変わると、響きや印象もまた変わる」ことを客席に訴えた。観客は自由に体を揺らしたり、歌を口ずさんだり、手拍子に参加したりと、全18曲の演奏を思い思いに楽しんでいた。