3つの「C」がカギ 渋谷にオープンした吉本興業シェアオフィスが描く未来
東京・渋谷に2019年7月22日、吉本興業の次世代シェアオフィス「Laugh Out(ラフアウト)」がオープンした。「 CREATE TOGETHER. Work , Create , Enjoy ! 」をコンセプトに、働くだけでなく、創作活動が可能なコミュニティー型スペースとしているが、近年、続々とオープンするシェアオフィスとどんな違いがあるのか。
Laugh Outは3つの「C」
「Laugh Out」は、クリエイターが集まる場であり、芸人達の創作活動の場。さらに、領域を超えたコラボレーション、「面白い」が生み出すイノベーションを目指している。
シェアオフィス内には、ミニステージやDJブースが併設されているほか、仲間を募集したり、出資を呼びかけたりすることが可能なコミュニティーラジオやカメラ・編集機材が完備された配信スタジオが用意されている。
オープン時に開かれたパネルセッションでは、インテリアショップ「IDEE(イデー)」の創始者で「ラフアウト」の名付け親、黒崎輝男氏のほか、アートディレクターの千原徹也氏、飛び出すパラパラ漫画の動画「パラデル漫画」で注目されるよしもと芸人の本多修氏、そしてモデレーターとして渋谷区観光協会代表理事の金山淳吾氏が登壇した。
金山氏によると、Laugh Outのキーワードは「Creator(クリエイター)」,「Community(コミュニティー)」,「Culture(カルチャー)」の「3つのC」という。
最初の「C」はクリエイター。Laugh Outは個人のクリエイターが集まる場所であり、今までにないコラボレーションが生まれるのではないかと語るのは千原氏。自身もアートディレクターとして長年活動しているからこそ現代は個人のクリエイターが活躍する時代になってきているように感じるという。実際にTwitterでのパラパラ漫画の投稿をきっかけに芸人からクリエイターという新たな領域へ活躍の場を移した本多氏のようにYouTubeなどに進出を目論んでいる人が多いとのこと。
二人の会話を聞いた黒崎氏は「Laugh Outはそのような芸人さんたちがYouTubeやラジオなど、新しいことを始めるきっかけになればいいと思います」と、新たな才能を開花させる芸人が出てくることに期待を寄せた。
次に二つ目のコミュニティー。
黒崎氏はこれからの時代、大事になるのは「一緒に何かをやること」、「一人ではなくみんなで考えて知恵を集めること」をあげた。Laugh Outはそれぞれのクリエイターたちが個別で働くのではなく、共に刺激し合いながら働けるコミュニティーになればいいと語る。
これに対し千原氏もLaugh Outはコミュニティーを作るのに適した場所だと共感。これまで京都を中心に「れもんらいふデザイン塾」という塾でクリエイターやタレントなど様々な人を集め、一緒にご飯を食べ、作品を作ることでそのようなコミュニティーを無理やり作ってきたという経験から、Laugh Outでは自然とコミュニティーが作られることに期待しているという。
内覧会を実施
3つ目の「カルチャー」。1960~70年代から日本のファッション、音楽文化を牽引してきた渋谷が、2000年代以降のオフィスビル建設により停滞していると言われていることに対し、黒崎氏はこれからの時代は一緒に働くことで「働き方」がカルチャーになると回答。自身が、ある出会いから最終的にアップル製品のデザインを担うことができたという経験を披露しつつ、Laugh Outでも同じような出会いが生まれることに期待したいと語った。また黒崎氏が同じく運営しているコワーキングスペース「みどり荘」とLaugh Outを中心に世界中の面白いクリエイターを渋谷の公園通りに集め、「笑いで街を変える」という野望も語った。
最後に金山氏が「このLaugh Outという施設で、いろんな人が出会っていろんなビジネス、文化が生まれることを期待したいですね」と話を総括した。
なお、Laugh Outでは希望者に向けて内覧会を実施している。