「選手村」、東京五輪1年前の姿 跡地は1万2000人が住む「街」に

   東京オリンピックの開会式が行われる2020年7月24日まで1年を切った。東京・晴海では選手宿泊施設「選手村」の建設が進んでいる。

   工事進捗はどのようか。J-CASTトレンド記者は7月23日、「選手村」建設現場に出かけた。仮囲いぎりぎりまで近付き、ファインダー越しに見上げたが全貌がカメラに入りきらない(写真2)。現場では多くの作業員が忙しく行き交っており、未完成部分も多くあるものの、建物の外側だけ見れば完成が近いように感じた。

「選手村」工事現場の様子(1)
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最新VR映像技術で実際の眺望を投影

   東京オリンピック・パラリンピック大会終了後、選手村は改築され、5632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設を含めた24棟に人口約1万2000人が住む街「HARUMI FLAG」になる。

   選手村工事現場に足を運んだ後、「HARUMI FLAG」の販売センターであり、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの技術を使って物件の魅力を伝える「HARUMI FLAG パビリオン」を見学した。記者を案内してくれた、三井不動産レジデンシャルの東京オリンピック・パラリンピック選手村事業部推進室の古谷歩さん曰く、「HARUMI FLAG パビリオン」の見どころの一つがレファレンスルーム(モデルルーム)だ。「HARUMI FLAG」には1260タイプもの部屋があるが、そのうち5つの間取りを例として挙げている。

   古谷さんが「見学者からの反響が多い」と語るのは、レファレンスルーム106平米の部屋。パナソニックの最新VR映像技術を駆使し、レインボーブリッジなど東京湾を一望できる「HARUMI FLAG」の分譲住宅「PARK VILLAGE」13階からの眺めを窓辺に投影(写真4)。実際の部屋の見え方に近づけ、景色をリアルに感じてもらうための工夫だ。古谷さんは「恐らく業界初の試みではないか」と話す。

   海から約500メートルの立地という心地よさを感じられるよう、バルコニースペースを広くとっている95平米の部屋も見学者に人気だ。バルコニーの奥行きは2メートル50センチあり、ちょっとした机やいすも十分置けるが、この面積は95平米の中に含まれていないため、お得感がある。

   そのほかの主な展示内容には、パナソニックのVR空間演出ソリューションによって「HARUMI FLAG」の街並みや共用スペースなどを実物大で体感できる「VIRTUAL STAGE MIERVA」、AR技術を導入した1/150スケールの「HARUMI FLAG」模型にタブレット端末をかざし、画面上に投影される完成後の街の様子を見て楽しむ「AR EXHIBITION TOUCH THE FUTURE」などがある。

「選手村跡地計画」だからこそ実現した空間デザイン

   古谷さんは「3方向を海に囲まれているため、生涯にわたって眺望や日当たりが保証される」ことを「HARUMI FLAG」の魅力として強調し、これまでに来場した見学者についてこう明かした。

「湾岸エリアにお住いの子育て世帯から支持を得ているほか、持ち家がある方が『終の棲家』として買い換えを希望されるケースも多いようです。色々な人にとって住みやすいようユニバーサルデザインに徹底配慮しているため、立地条件に加え、子どもから高齢者まで暮らしやすい設計にしている点も評価されていると思います。建築基準をクリアすればいいという考えではなく、基準以上の『ゆとりをもったつくり』を追求しています」

   古谷さんが具体例として挙げたのは、住宅棟の共用廊下だ。一般的なマンションの外廊下幅が約1200ミリメートルであるのに対し、「HARUMI FLAG」は約1500ミリメートルを確保。この300ミリメートルの差で「車いす利用者やベビーカーと人がギリギリすれ違える」のではなく、「余裕をもって行き違える」ようになるという。「選手村」という国家プロジェクトを受けて作られ、その「遺産」となる街だからこそ、成し得た空間デザインや機能面に魅力を感じる人は多いのではないか。【特集・目指せ!東京2020】

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