五輪アスリートが考える2020年の「おもてなし」 世界中から訪れる人のために

   ビュッフェダイニング「グランイート銀座」(東京都中央区)では、2019年8月5日まで「池田信太郎が考える2020年のおもてなし」フェアを開催する。

   池田さんは北京、ロンドン五輪と2大会連続でバドミントン日本代表として出場し、東京2020組織委員会では飲食戦略検討委員を務める。レストラン「EPICURE」(東京都港区)のオーナーシェフ・藤春幸治さんと共に考えた、世界中から集まるアスリートやその家族、観光客を「おもてなし」するための料理が提供される。

元バドミントン日本代表の池田信太郎さん
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日本では多文化に対応した飲食店が必要

   フェア初日の7月22日に、報道向けの発表会・試食会が行われた。

   池田さんは飲食戦略検討委員としてこの2~3年、東京五輪・パラリンピック開催時の食の提供はどうあるべきか議論してきた。五輪では、選手だけでなく家族やボランティア、観客が様々な国から訪れることが予想される。選手村では思想・宗教や様々な文化に対応した食事が提供されるが、彼らを「おもてなし」するためには、同様の食事を提供する既存の飲食店が増えていく必要がある、と池田さんは話した。

   今回のフェアでは、ダイエットやアレルギー、思想・宗教のために「食べられないものがある」人のための料理を提供するレストラン「EPICURE」の藤春さんに依頼し、ハラール、ヴィーガン、グルテンフリーのメニューを用意した。

   藤春さんは、2020年の五輪をきっかけに様々な文化の人々が訪日し、「食べたいもの」「食べたくないもの(食べられないもの)」が多様化していくと予測する。これから日本の飲食店はそうした変化を理解してメニューを開発していかなければならないと述べた。

ヴィーガンメニューも食べ応え十分

   「2020年のおもてなし」として試食会に並んだのは、小麦粉を使わない「こんにゃくと米粉のパン」や、米粉のパスタを使ったサラダ、大豆ミートを使った担々麺、野菜のみで出汁をとったフォー、「ハラール認証の鶏胸肉のポシェスパイス焼き」など10品。それぞれの大皿の側にメニュー名が書いてあり、グルテンフリーのものには「G」、ヴィーガンメニューは「V」、ハラールには「H」と大きく表記されている。

   記者は10品すべて試食したが、いずれも「物足りなさ」は全くなかった。特に「ヴィーガン担々麺」はしっかりした麺に、濃厚なスープが絡み、かなりの食べ応えだ。大豆ミートのそぼろも、そうと聞かなければ肉だと疑わないだろう。同じ麺を使ったフォーも、野菜だけでとったとは思えない出汁の効いたスープだった。

   ハラールのメニューには、専用の調理スペースが設けられていた。ハラール認証の食材を使うだけでなく、ムスリムが摂取することを許されない豚肉やアルコールに触れていない調理器具を使っていることが示され、調理中の様子も客から見えるようになっている。

   藤春さんは、ノウハウさえあればムスリムの人々に安心して食べてもらうメニューを提供できるとし、協会からのハラール認定がなくても「やれることはある」と、他の飲食店にも理解してほしいと話した。【特集・目指せ!東京2020】

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