遺伝子科学の世界的権威が講演 「DNA DAY TOKYO 2019」
4月25日は、世界的に「DNAの日」とされる。1953年にDNAの構造が論文として出版され、2003年に「ヒトゲノム計画」の完了が宣言されたのを記念したものだ。
2019年4月25日、「DNA DAY TOKYO 2019」が東京都内で行われた。遺伝子科学の世界的権威が講演し、遺伝子研究や遺伝子産業に携わる大勢の聴衆が耳を傾けた。
3部構成で国内外の専門家が語る
「DNA DAY TOKYO 2019」は、遺伝子検査を手掛ける「ジェネシスヘルスケア」(本社・東京)が主催し、テーマは「全ゲノムデータが変える未来」。第1部は「海外の最新事例」として、米イルミナでシニアバイスプレジデント兼チーフコマーシャルオフィサーを務めるマーク・ヴァン・ウーネ氏、米AncestryDNAシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのケン・シャヒーン氏、デンマークナショナルバイオバンクディレクターのヘレ・ボッセン・コンラドセン氏が講演した。
コンラドセン氏が所属するデンマークナショナルバイオバンクは、世界最古のがんの試料や診療情報、過去40年ほどの間に生まれたすべての赤ちゃんから採血された血液など、デンマークに存在する2500万以上の生体サンプルのデータを管理している。同氏は講演で、バイオバンクの過去、現在、未来について語った。
第2部は「遺伝データの社会的有用性」について、ジェネシスヘルスケア・チーフストラテジーオフィサーの萩迫孝弘氏と、同社チーフオペレーティングオフィサーの中西佑介氏が登壇。続く第3部は、「行政・学術・医療の視点」の講演となった。海外業務のため出席できなかった厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏は、映像でコメントを寄せた。そのなかで鈴木氏は、ジェネシスヘルスケアなどが手掛ける一般消費者向け遺伝子検査サービスについて、一般消費者が利用するサービスとしても遺伝子解析が使われ、個人個人の健康づくりや、より健康になるための予防として活用できると期待を述べた。
東京工業大学生命理工学院准教授の相澤康則氏は、「ゲノム工学革命がもたらす未来」と題した講演の中で、合成生物学によるイノベーション創出の時代に、日本が乗り遅れず世界を先導するために「ゲノム構築の国際水準技術をいち早く導入する」「ゲノム構築の国際コミュニティーに深く関わる」「国内アカデミアでゲノム構築研究をドライブさせる」など8項目を挙げて説明した。
ほかに国立科学博物館副館長・人類研究部長の篠田謙一氏、順天堂大学大学院医学系研究科泌尿器外科学教授の堀江重郎氏、参議院議員で慶応義塾大学法科大学院教授・医学部外科教授の古川俊治氏が、それぞれ講演した。