1冊の本を読みつなぐプロジェクト 感想をサイトに書き込み次の人へ託す
今井美術館(島根県江津市)と星野道夫事務所のコラボレート企画「旅をする本プロジェクト」は、写真家の故・星野道夫氏の著作「旅をする木」を読みつなぎ、本に込められた旅や自然への思いを共有して、読者同士の縁をつないでいくことを目指すプロジェクトだ。
このプロジェクトに関連して、2018年11月からプレオープンしていたウェブサイト「旅をする本」が、2019年4月5日に公式オープンした。J-CASTトレンドが今井美術館に取材したところ、プレオープンでは公式オープン後に広く一般の人に参加してもらえるように十数人に「旅をする木」を配布し、その感想を公開していたが、本オープンで誰でも参加できるようになった。
あの本はいま、どこを旅しているのだろう
プロジェクトに参加するには、すでに参加している誰かから本を託されるか、自分の持っている書籍を「旅をする本」サイトに登録する。
書籍の登録はサイト上の「新しい本を登録する」から行う。メールアドレスや名前など必要事項を入力すると、「BOOK-ID」が発行される。そのBOOK-IDを印刷し、書籍に張り付ける。
書籍を登録したら、感想や読んだ場所などを同サイトに記入する。そして、その「旅をする木」を読んでほしい人に渡す。例えば遠方に住む知人に郵送したり、学校や職場で友人に手渡したりする。渡された人もまた、感想や読んだ場所を同サイトに記入し、次の人に託す――。
それぞれの本の軌跡はサイト上で記録され、自分が読んだ「旅をする木」が今までどんな旅をしてきたのかを辿り、これからどんな旅をしていくのかを追いかけることができる。
今井美術館館長・今井大造氏は取材に対し、このプロジェクトには1996年に亡くなった星野道夫さんの著作を、星野さんを知らない人、とくに若い世代の人にも広めたい、という思いが込められていると答えた。