唯一無二のバットマン スーパースター・イチローの軌跡


   長年大リーガーとして活躍してきたイチローが、2019年3月21日、東京ドームのMLB開幕戦を最後に、現役引退を発表した。1992年にオリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)に入団以来、28年にわたるプロ生活にピリオドを打ったわけだが、退団会見は多くの名言が飛び出し、終始温かい雰囲気に包まれていた。彼が今後どのような活動をしていくのかに注目が集まっている。今回は多くの記録を打ち立て、唯一無二の活躍を見せたイチローを追う3冊をご紹介。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも特集記事を公開中。

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100時間を超えるインタビューですべてを語り尽くす


   『イチロー・インタヴューズ』(著者:石田雄太 文藝春秋 1296円)では、日本球界からメジャーへの挑戦が決まった2000年秋から2010年シーズン直前までの100時間を超えるインタビューを収録。シアトル・マリナーズでのデビュー試合にはじまり、初めての首位打者のタイトルの獲得、リーグMVP、メジャー記録のシーズン262安打、自らのバットで決めたWBCでの連覇といった輝かしい軌跡はもちろん、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸への強い想いを語る。

   「飛翔―2000~2002(どうせなら、ユニフォームのカッコいいところがいいな/向こうに行くことが夢じゃないですから ほか)」、「試練―2003~2005(一番苦しいと感じるのは、できるのにできないということ/え、トップって、何が? ほか)」、「栄光―2006~2007(獲りにいって獲った世界一ですから/日本のこと、大好きです ほか)」、「結実―2008~2010(去年の涙は、悔しさがすべてではない/おっと、松坂選手、言うようになったね ほか)」。

天才打者の神髄を探り出したノンフィクション


   大リーグで通算"3000本安打"に到達し、殿堂入りを確実にしたイチローは、稀代の安打製造機として数々の記録を打ち立ててきた。しかし日本に伝えられる関係者のコメントは、どれも予定調和の賛辞ばかりで、現場に居合わせた専門家の本音はなかなか知ることはできなかった。果たしてイチローは、本場のベースボールにどれほどの衝撃をもたらしてきたのか!?『イチローがいた幸せ』(著者:杉浦大介 悟空出版 1350円)では、L・ピネラ、J・マクラーレン(ともに元マリナーズ監督)、同僚だったC・グランダーソンや"イチローキラー"といわれたF・ロドリゲスらのロングインタビューをはじめ、大物スカウトや現地のジャーナリストなど、大リーグ関係者50人がイチローの"心・技・体"について語り尽くす。

   「栄光のマイルストーン」「称賛と失意のシアトル」「驚異の打撃術」「微妙な過渡期 ニューヨークのイチロー」「イチローとベースボールの未来」の全5章

世界のヒーローを支えた、無名のヒーローたちがいた


   イチローのバットには秘密がある。イチローは70年以上も前に植えられたアオダモ材を使ったバットにこだわり、使い続けていた。アオダモの魅力は驚異的なしなりと粘りで、他の外国産材に比べて格段に折れにくく飛距離がでるバットが出来上がるという。しかし、そのアオダモが今絶滅の危機に瀕している。『イチローのバットがなくなる日』(著者:長谷川晶一 主婦の友社 823円)は、バットをめぐってアオダモに関わる職人たちの奮闘を描いた2003~2010年のルポルタージュ。2010年3度目の旅で、著者である長谷川氏が知った衝撃の現実とは!?

   「どうして、こんなことに...―2010年夏」「アオダモは死なず―2006年早春・その1」「アオダモを取り巻く異変―2008年夏」「あの日の若木が...―2010年夏・その2」「機械がバットを作る―2010年夏・その3」「雨の神宮球場にて―名もなきヒーローの奮闘」ほか。

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