夫婦間に収入差ある家庭の家事分担 「低い方が多くやるべき」は暴論か
共働きの夫と妻で収入に差がある場合、低い方が家事を多くやることが望ましいのか。それとも収入差に限らず、「平等」に分担するべきか。
2019年1月21日、女性向け匿名掲示板「ガールズちゃんねる」に立ったトピックでは、収入差がある夫婦間での家事分担にまつわる、さまざまな意見が交わされた。
「お互い譲らなければ」「手が空いている方が」の意見も
議論の発端は、2019年1月19日にビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER JAPAN」が配信した記事にある。
年収約700万円という正社員で管理職の夫と、一部上場企業で契約社員として働く年収約300万円の妻にスポットを当てた内容で、夫は「年収差が400万円あるのだから、妻が多く家事を負担するのは当然なのでは」という考えの持ち主。結婚当初から共働きで、「家事や育児は相応に分担してきたつもり」と語る夫は、子どもの小学校入学、妻の昇進など家庭環境の変化に伴い、妻がさらに家事育児を負担するように求めてきたことに不満を募らせている――という内容だ。
この記事を引用する形で立てられたトピックには、19年1月23日正午時点で1300を超えるコメントが寄せられている。「夫」の考え方に批判的なユーザーからは「こういうのが嫌だから私は意地でも働かない」、「年収低いのにって時点で妻のこと見下してない?」といった声がある一方、同情的な意見としては以下のようなものがあった。
「夫の心が広い気もする」
「いい旦那さんだね。稼いでるのにそんなにやってくれるなんて。そんな人に私だったら文句言えないよ」
また、記事に登場した夫婦に対し、「お互い譲らなければ上手くいかないよ」、「もっと外注すりゃいいやん。お金持ってるんだからさ」とのアドバイスのほか、
「収入が低い方じゃなくて、手が空いている方がやればいいんだよ!!どっちも手が空いてないなら協力するしかない」
「就職したらずっと働き続けられる男性のほうが、出産育児などでどうしてもブランクのできる女性より年収が高いのは、当然といえば当然のこと」
と、年収差で家事負担を決めるべきではないという指摘も見られた。
「家事分担は平等」最も賛成が多い夫婦の年収差は
では実際に夫と妻の年収の差額によって、共働き世帯は家事・育児の分担の仕方に違いがあるのか。婚活支援サービスを展開するパートナーエージェント(東京都品川区)が2016年11月18日に結果を公表した「夫婦の就労実態」に関するアンケート調査に、興味深い報告がある。
本調査では、夫婦共働きの20~59歳の既婚男女320人に「夫婦の年収差の差額」と「家庭での家事・育児の分担」についてそれぞれ質問している。年収差について「なし」から「1001万円~」までの区分と、「答えたくない」という各カテゴリーの中で、最も多く「家事分担は平等」だと答えたのは、夫婦間で年収に「差はない」と回答した家庭で、60.0%となった。
半面、全回答中「ほとんど妻が担当」という答えが最も多い割合になったのは年収差「301~400万円」の世帯で、54.5%。しかもこの世帯では、妻に負担がかかっていることを表す回答(「ほとんど妻が担当(54.5%)」、「どちらかと言えば妻が担当(29.5%)」、「妻が担当(9.1%)」)を合計すると93.1%にも上る。パートナーエージェントは発表資料で「年収差が少ない家庭ほど協力しあっている」と分析している。