高校ラグビー「関西勢」がとことん強い 記者も体験した関東との大きな違い
2019年1月7日、大阪・花園で行われた「全国高校ラグビー」で、大阪桐蔭高が悲願の初優勝を飾った。
大阪は「都道府県面積ランキング」で「ワースト2」、なのに...
大阪生まれの記者も、小学3年からラグビーを始めた。仲良しの友達に誘われ「少年野球」に入るような感覚だったと記憶している。ところが、父親の転勤で、中学から関東へ。当然「ラグビー部はあるだろう」と思いきや、近所には、まったくなかった...。
そこで「高校ラグビーはなぜ『関西勢』が強いのか?」という疑問を、関西ラグビーフットボール協会にぶつけてみた。
同協会はデータを示した上で、2017年(平成29年)時点での、高校生競技人口は、
・大阪府=2340人(33校)
・兵庫県=1350人(22校)
・京都府=995人(18校)
と説明した。
過去、平成(昭和64年1月7日は天皇崩御のため決勝戦は行われず、両校優勝)のデータを見ていただこう。
昭和64年以降の「高校ラグビー」優勝校、準優勝校と決勝のスコア
まずは今年、初優勝を飾った大阪桐蔭をはじめ、大阪工大高(現・常翔学園)や啓光学園(現・常翔啓光学園)、東海大仰星といった「大阪勢」が名を連ねる。また、人気ドラマ「スクールウォーズ」のモデルにもなった京都・伏見工(現・京都工学院高)、奈良の天理や御所実...といったチームで決勝戦を戦っていることが、よく分かる。
突出すべきは、やはり大阪だろう。なにせ「都道府県面積ランキング」では、全国で最も狭い香川に次いで「ワースト2位」だ。その中で33校が切磋琢磨をし、競い合っている。
同協会は、
「花園ラグビー場があるということもあり、小さいころから『ラグビーに触れる』機会も多いのかもしれませんね」
つまり「花園がある→子供たちが見る→ラグビー土壌が育つ」といった「花園土壌」図式のようだ。
また、大阪だけ「第3代表」まであることについては(東京は第2代表まで)、次のように説明した。
「実は、もともと東京と同じ『第2代表』までなんです。しかし『開催地枠』ということで、もう1チーム出ているんですよ。事実、春に行われる大会は埼玉・熊谷。同大会には、埼玉県から2校出場しています」
「関西のオールブラックス」天理大は初戴冠なるか?
2018-2019年シーズンは、トップリーグ(TL)で神戸製鋼、高校が大阪桐蔭、そして今月12日には天理大―明治大の「大学選手権」決勝が、東京・秩父宮ラグビー場で行われる。ここで天理大が初優勝を成し遂げれば、関西勢が「TL」「大学」「高校」の「3冠」を達成することになる。天理大は今月2日に行われた準決勝で、「V10」を目指した帝京大に完勝した。
これまで「高校=西高東低」、「大学=東高西低」の図式だった。関西ラグビーフットボール協会は、
「(ラグビーの)土壌は、確かに関西にはあるんですけど、やっぱり『テレビ中継』のような注目度があり、スタジアムも満員になる...。選手たちは、当然、そちら(関東の大学)を目指していくのでは」
と指摘した。だが天理大が優勝すれば、「大学=東高西低」が、少なくとも10年ぶりに大きく崩れることとなる。
今年の秋には「ラグビーW杯日本大会」が、全国各地で開催される。関西のみならず、老若男女を問わず、いろんなところでラグビーの魅力を知ってほしいところだ。
(1月9日11時45分追記)大阪工大高と啓光学園の現校名に誤りがありましたので、修正しました。