常勝球団づくりは「育成ドラフト」にあり 「ダイヤの原石」今年はどのチームが指名?
「プロ野球ドラフト会議」の季節がやってきた。夏の甲子園を沸かせた大阪桐蔭の藤原恭大(きょうた)外野手に根尾昂(あきら)内野手、金足農・吉田輝星(こうせい)投手らの「ドラ1競合指名」に注目が集まる。
だが、「育成ドラフト」にも注目してみてはどうか。これまでにも、球界を代表するスター選手が生まれている。
「育成4位」から「侍ジャパン」、WBCで先発も
2005年度から導入された「育成ドラフト」制度。参加しない球団がある中で、積極的に活用しているのが、福岡ソフトバンクホークスだ。ここ10年で5度のリーグ優勝、4度の日本一と圧倒的強さを誇る。2018年もリーグ優勝の埼玉西武ライオンズを破り、下克上で日本シリーズ進出を決めた。
ソフトバンクの強さの要因のひとつが「選手層の厚さ」だ。2011年から「3軍制度」を立ち上げ、選手の育成に力を入れている。こうした環境から這い上がって、今や球界トップクラスにまでのぼりつめた選手がいる。2010年の育成ドラフト4位で入団した千賀滉大(こうだい)投手(25)だ。
千賀投手は2016年に日本代表「侍ジャパン」に初選出され、2017年3月の「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)で先発・中継ぎで大活躍した。2017年に13勝4敗、勝率7割6分5厘で、「勝率第一位投手賞」のタイトルを獲得。オールスターゲームでは、育成枠出身投手として史上初めて先発を任された。
この年、ソフトバンクの育成ドラフトは大当たり。5位の牧原大成内野手(25)、6位の甲斐拓也捕手(25)もブレイク中だ。牧原内野手は2018年シーズンに59試合に出場し、ヒット79本、打率3割7分1厘とバッティングセンスが光った。甲斐捕手は2017年シーズンに103試合、今季は133試合出場と正捕手の座をつかんでいる。
また、2013年育成ドラフト1位の石川柊太投手も2017年シーズンから先発・中継ぎとフル回転。2年間で21勝(9敗)、15HP(ホールドポイント)、勝率7割とチームの勝利に大きく貢献している。
甲斐捕手、石川投手は今年11月開催の日米野球に出場する代表メンバーにも選ばれている。
巨人山口、ロッテ西野、DeNa砂田
ソフトバンク以外の育成ドラフトでも、成功した選手はいる。「当たり」といえそうなのは、読売ジャイアンツ山口鉄也投手(2005年1位)、千葉ロッテマリーンズの西野勇士投手(2008年5位)、横浜DeNaベイスターズの砂田毅樹投手(2013年1位)だ。
今季限りでの引退を発表した山口投手は、プロ野球史上初の9年連続60試合登板を記録、西野投手は2014年に育成選手としては初のシーズン30セーブを達成、砂田投手は2017年に62試合、2018年に70試合出場と中継ぎとして実績を挙げている。
2018年育成ドラフトからもスターが生まれることを期待したい。