二輪整備士が腕前を競った「YAMAHA WTGP 2018」 最年少21歳、「父超え」果たした日

   ヤマハ発動機(静岡県磐田市)は2018年10月17日、二輪車の整備技術などを競う世界大会「WORLD TECHNICAL GRAND PRIX 2018」(WTGP 2018)を本社で開催した。

   日本を含む19の国と地域から選ばれた21人の整備士が出場。かつて父もWTGPに挑んだという21歳が、頂点に輝いた。

大会の様子
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「故障診断競技」と「お客様対応競技」

   WTGPは世界各地の代表が集い、ヤマハ製二輪車の整備技術と接客対応を競う大会だ。2年に一度開催され、今年で8回目を数える。

   日本からは、2200人が参加した予選大会を勝ち抜いた井口友臣(ともしげ)さんが出場。バイク販売店に勤務し、整備士歴は13年になる。

   大会は、不具合が起きた二輪車の点検・修理を行う「故障診断競技」と、修理後に整備内容を客に伝える「お客様対応競技」の2種目の合計点で争う。「故障診断競技」は「工具、機器の取り扱いの正確さ」や「修理手順」などを、「お客様対応競技」は「言葉遣いやマナー」「わかりやすい説明」などをチェックする。審査項目は50以上ある。

   ヤマハ発動機の担当者は「南米の選手はじょう舌に接客するなど、お国柄が垣間見えます」と話した。

   競技の模様は公開された。審査員はもちろん、報道陣(17社約40人)やヤマハ関係者、出場者本人の上司や家族、恋人、さらに有名ブロガーが周りを囲み、カメラのフラッシュや声援が飛ぶ環境で実力を発揮しなければならない。

父の背中を見て技術を学んできた

   審査の結果、排気量の多い「スポーツモデル」部門は、カナダ代表のブレット・ハート選手が、排気量の少ない「コミューターモデル」部門は、台湾代表のウー・チャンウェイ選手が優勝した。

   ウー選手は囲み取材で「父さんが2位だったので、1位をとれてとても嬉しい」と口にする。大会出場者の中で最年少の21歳だ。幼少期から二輪整備士の父の背中を見て技術を学んできた。「コツコツと勉強してきた成果が出せました」というように、21歳ですでに整備士歴は7年になる。

   父親も過去のWTGPに出場していたが、結果はあと一歩届かず2位。今回の大会で、親子2代の悲願を成就させた。

   一方、井口選手は入賞を逃したが、「まだまだ自分はがんばれる余地がある」と今後の雪辱を誓った。

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