「スマホタップで月収200万」「簡単作業で稼げる」 消費者庁「副業詐欺」半年で9件の注意喚起
消費者庁は2018年10月17日、虚偽・誇大な広告・表示及び断定的判断の提供を確認したとして、消費者安全法に基づき、スマートフォン向けアプリデザイン開発などを手掛けるQuest(東京都新宿区)の社名を公表し、注意喚起を行った。同社は「スマホをタップするだけでお金が稼げる」とうたい、情報商材「タップイズマネー」の販売や有料コースへの勧誘を行うなど、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為を働いたという。
このように、あたかも簡単な作業で収入が得られるように宣伝してだます「副業詐欺」に関して、今年度だけでも消費者庁からの注意喚起が9件に上っている。
「特別プレゼントを受け取れるモニターに当選した」と誘導
発表資料によるとQuest社の手口は、消費者をSNSなどに掲載されている広告で勧誘し、同社が運営する抽選イベント実施ウェブサイトに呼び込むことから始まる。そこで応募させ、無料通信アプリ「LINE」を通じて「特別プレゼントを受け取れるモニターに当選した」などとメッセージを送るという。
その後、消費者は「今なら期間限定で5万円プレゼントイベント実施中!確実に受け取れます!」などと記載されている、スマホタップビジネスに申し込むためのウェブサイトに誘導される。またそこには、1期生として本件ビジネスを体験し「現在も10万円以上の月収を得ている」と説明する4人の動画が公開されているという。
初期費用はかかるが、消費者は「5万円のキャッシュバックが確実にあるなら損をすることはない」と判断し、「タップイズマネー」というPDFファイルを購入してしまう。ファイルには「興味のある方はまずは電話予約フォームからお気軽にご相談下さい」とあるため、消費者はQuest社に連絡し、高い収益を得るために別途有料コースに入る必要があると説明を受ける。しかし支払った金銭以上の収益を上げることは難しい――。消費者庁が説明した実態だ。
「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」などのQ&Aサイトで「タップイズマネー」と検索すると、「大丈夫だと思いますか?」と不安視するような趣旨の質問が今年4月を皮切りに投稿されていた。
「収益を得るために必要」と称して...
消費者庁のサイト「消費者被害防止に向けた注意喚起等」を確認すると、甘いうたい文句で消費者をだまし、多額の金銭を支払わせる事例が見られる。
例えば9月11日に同庁が注意喚起を行った案件では、業者が「画像選択がベースの簡単な作業でお金を稼げる」などとうたい、「収益を得るために必要」と称して費用を支払わせている。消費者を「今なら最大5万円キャッシュバック付き」などと記載されている専用サイトに誘導し、初期費用や、「システムの使用方法に関する電話サポートなどを受けることができる」という有料コース料金を負担させる流れだ。
消費者庁は、あらゆる契約や取引に際して少しでもおかしな点があると感じた場合は、支払い前に各地の消費生活センターや警察に相談するよう勧めている。