小島慶子さんの心を揺さぶった討論 産学官民から参加「老後を変える共創会議」

   日本経済新聞社クロスメディア営業局が主催する「老後を変える共創会議」(特別協賛:メットライフ生命、三井住友銀行)が2018年10月12日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた。産学官民の各界から招かれたゲストが「老後」をテーマに、講演や討論を行った。

オープニングスピーチを行う小島慶子さん
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「体が動かなくなっても、やれることはあるんじゃないか」

   オープニングではタレント、エッセイストの小島慶子さんが登場。本イベントのテーマについて「健康寿命、資産寿命、貢献寿命という3つの切り口から、今まではネガティブなものとして語られがちだった『老後』という言葉を、ポジティブなものとしてとらえ直すための取り組み」と紹介した。

   基調講演では経済産業省 商務・サービスグループ 政策統括調整官の江崎禎英氏が「超高齢社会への対応―社会保障制度改革の視点―」について語った。

   江崎氏によれば、時代の変化や医学の進歩に伴って、日本人の死因が「感染症やケガ」といった外因性のものから、「生活習慣病や老化」といった内因性のものに変わってきている。そのため、医療は「治す」から「予防・進行管理型」に、介護は「足りないものを補う」から「自律を支える」に、それぞれシフトして現代の超高齢社会に対応すべきで、「その人がどう生きたいか」に寄り添ったサービスを提供することが重要だと説明した。

   パネルディスカッションではモデレーターに小島さんを迎え、東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授の秋山弘子氏や、タレントの清水国明氏、NPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト代表の木戸俊介氏、介護福祉士・モデルの上条百里奈氏らが、人生100年時代における「生き方」について生活者の視点から討論した。

   介護福祉士として日ごろ高齢者や障害者と触れる機会の多い上条氏は、現在20代。「100歳まであと80年どうやって生きていこうか、どんな風にイメージをしていらっしゃいますか」と小島さんに問われ、

「今私が介護させていただいている、指が一本しか動かない障害者の方がいらっしゃるのですが、私より稼いでいる時もあったりして...(笑)全然体は動かないんですが、大手の会社と共同開発をしたり、遠隔で秘書業務や論文管理をされているのを見ていると、私が老後に体が動かなくなっても、やれることはあるんじゃないかと思う」

と語った。

   小島さんはパネリストたちの討論を受け、「若くて体に何も支障がなかったときが人間のあるべき姿で、そこから変化したら何かを失ったことなのだ、という考え方に私自身はあまりにもとらわれすぎていたなと思います」と、うなずいていた。

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