風疹流行、患者数は千人超え 9割以上が予防接種歴「なし」「不明」
国立感染症研究所は2018年10月16日、「風疹急増に関する緊急情報」を発表した。2018年初めから10月7日までの間に報告された風疹患者の数は、1103人に上る。
この数は、風疹が全数把握疾患となった2008年1月以降で見て、大規模な風疹の流行が起きた2013年(1万4344人)、2012年(2386人)に次ぐ3番目の多さ。
国立感染症研究所「風疹はワクチンで予防可能」
都道府県別の患者累積報告数は、最多が東京都(362人)、次いで千葉県(216人)、神奈川県(132人)と首都圏が占める。100人を下回っているものの、埼玉県、愛知県もそれぞれ78人、61人と多かった。
人口100万人あたりの患者報告数は千葉県が34.7人で最も多く、続いて東京都の26.8人、神奈川県の14.5人となっており、都道府県別の患者累積報告数のトップ2が入れ替わった形だ。10月7日時点で、風疹患者の報告がない県は青森、高知、佐賀、長崎、大分、鹿児島、沖縄の7県のみ。
報告患者の性別内訳を見ると男性916人、女性187人で、男性が女性の約5倍となっている。男性患者は30~40代(男性全体の62%)、女性患者は妊娠出産年齢の20~30代がそれぞれ多く(女性全体の58%)、報告患者の96%にあたる1057人は成人だ。また予防接種歴については「なし」(266人)と「不明」(754人)が大部分となった。
国立感染症研究所は調査結果を受け、
「今回報告を受けている風疹患者の中心は、過去にワクチンを受けておらず、風疹ウイルスに感染したことがない抗体を保有していない集団である」
と分析。「風疹はワクチンによって予防可能な疾患である」と強調しつつ、ワクチン接種を改めて奨励した。
特に妊婦は注意が必要だ。発表資料によれば、妊娠20週頃までに風疹ウイルスに感染すると胎児にも風疹ウイルスが感染し、眼や耳、心臓に障害をもつ「先天性風疹症候群」の子どもが生まれる恐れがある。しかも妊娠中は風疹含有ワクチンの接種を受けられないうえ、接種後2か月間は妊娠を避ける必要があることから、夫婦揃っての早めの対応が求められる。