若者ほど他人の視線が「ストレス」「怖い」 背景に「現実世界で自信持てない」
相手からの視線に耐えられる力は「視線耐性」と呼ばれる。これが低いほど、「周りの目が気になりやすい」「他人からの視線にストレスを感じやすい」という。
男性化粧品メーカーのマンダム(大阪市)は2018年10月3日、「視線耐性」とデジタルコミュニケーションに関する調査結果を公表した。この中で、若い年代ほど、他者からの視線に対してストレスを感じやすい人が多いと指摘している。
20代女性の8割弱が「視線」にストレス感じた経験
調査は15歳~59歳の男女1091人を対象に、インターネット上で行われた。
まず「他者の視線にストレスを感じたことがありますか?」の問いで、10代、20代の男女6割以上が「とてもよくある」「たまにある」と回答。2つの合計が最も高かったのが20代女性で、76.7%となった。30代を見ても男性が55.7%、女性が63.0%といずれも5割を超えている。ただ年代が上がるごとにその割合は下がっている。
「他者の視線が怖いと感じたことがありますか?」という質問でも、前問と同様の回答傾向が見られた。10代、20代の「とてもよくある」「たまにある」という回答合計は男女とも6割を超え、特に10代女性は38.5%が「とてもよくある」と答えている。
30代以降は「とてもよくある」「たまにある」が減少し、40代と50代の男女は「どちらともいえない」「あまりない」「全くない」という回答の方が多い。
若い年代ほど、他者の視線に「ストレス」や「怖さ」を感じる割合が高い傾向だった。
デジタル世界に新たな自分像を作っている
「友達と仲良くなるにはどんなコミュニケーションツールを使うか?」という問いに対しては、全世代の多くが「直接対面で話す」と回答。また10代、20代は男女とも約3割が「LINEなどのメッセージアプリ」と答えたが、逆に40代、50代の男女は少なく、最多でも12.6%(40代女性)と若い世代の約3分の1に留まった。
コミュニケーション上のデジタルツール使用と視線耐性は、どう関連しているのか。政治学や恋愛学のテーマに沿った調査や研究などを行う、早稲田大学国際教養学部の森川友義教授はこの研究に対して、こうコメントしている。
「ネット・SNSの利用の当たり前化で、若者はデジタル世界に新たな自分像を作っています。その自分像は盛りすぎ写真やインスタ映え、多数のSNSアカウント所有で形づくる自分の理想形です。承認欲求を満たすため、ネット・SNS利用は増加し、『デジタルの自分が本当の自分』となってしまうケースもあります」
また森川教授は、現実世界において外見や内面に自信を持てないことにより、特に若者の間に生じてきているのが視線耐性の低下だと指摘し、視線耐性の高さ・低さを決める要因に、以下の3点を挙げている。
・ デジタル依存度(=デジタルメディア接触時間)
・ 対人経験度(=人と話す経験値)
・ 自信(=持って生まれた自信と成功経験の積み重ねによる自信)
さらに視線耐性の低下対策についても触れ、「リアルとデジタルとのギャップを埋める」「リアルの自分に磨きをかける」ための行動を奨励した。