うわさの「ZOZOSUIT」記者が徹底解剖 試着してわかった「3つの改善点」
体型計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」。2017年11月22日の予約開始日に申し込んでから約半年、ようやく記者の元に届いた。
メーカーは「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ」と豪語するが、真価はいかに。身長172センチ、体重70キロの男性記者が試着してみた。
体に吸い付く!着用だけで「滝汗」
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ(千葉市)が手がけるZOZOSUIT。スマートフォン(スマホ)で、全身に付いた白いマーカーを読み取ることで、体型のサイズを測れるというアイテムだ。
計測したサイズを基に、同社のプライベートブランド「ZOZO」から、Tシャツとデニムも注文できる。実際に試着・注文してみて気になった3点を挙げていく。
(1) 着用・計測の手間
スーツの着用からつまずいた。体に吸い付くような作りのため、腕や脚周りがなかなか通らない。同僚に手伝ってもらいなんとか着終えたときには汗びっしょりに。
計測でも難儀した。専用アプリ上のカメラで全身を360度撮影するのだが、途中で読み取りエラーが頻発したり、計測用アプリが落ちたりで20分ほどかかった。
また、スマホから2メートル離れて撮影しなくてはならず、狭い部屋だと難しそうだ。
これらの煩わしさから、途中で投げ出してしまう人は少なくないかもしれない。
注文した服が...合わない
(2) 計測の精度
最も重要な「計測データ」の精度が多少不満だ。
データは胸囲、ウエスト、ヒップのスリーサイズから、肩幅や腕の長さ、太もも周り、股下まで計12部位をミリ単位で算出する。
唯々諾々と従い、「クルーネックTシャツ」と「スリムテーパードデニム」を注文したものの......サイズがしっくりこない。Tシャツの胸囲が若干小さく、デニムの腰回りは大きめだった。
Tシャツは、計測した「胸囲、肩幅、着丈」を、デニムは「ウエスト、ヒップ、総丈」が基になって設計されるため、注文前にメジャーなどで誤差が無いか測っておくと安全かもしれない。
(3)好みが反映できない
わがままな意見だと承知のうえで......利用者の好みを反映できると満足感はグッと増すと感じた。
体型データをもとにした「ジャストサイズ」の商品が届くものの、「肩幅が広いのがコンプレックスなので緩めを着たい」「だらしない印象を与えないようデニムの裾は短めが良い」といったこだわりを持つ人は多いはず。特にZOZOTOWNを利用するようなファッション感度の高い人ならなおさらだろう。
そのため、計測データに加えて「好みのサイズ感」「気にしている部位」などアンケート情報を踏まえたサイズ提案があれば、リピート率は高まりそうだ。
ダイエットのパートナーとしてもおススメ?
以上、革新的なコンセプトゆえに発展途上の感は否めないが、優れた点もたくさんある。
ZOZOSUIT自体が無料なので気軽に試せるうえ、Tシャツは税込1200円、デニムは同3800円とオーダー品とは思えない低価格帯だ。ソフトバンクがかつて、ADSLモデムの無料配布という奇策でインターネットのブロードバンド接続を普及させたように、ZOZOSUITも「価格破壊」で服選びにパラダイムシフトを起こす可能性を秘める。
また、これは本来想定されていない使い方だが、体型の数値化および3Dでシルエットの可視化ができるため、ダイエットのモチベーション維持やトレーニングの成果確認に最適だろう。記者は「思っていた以上に腹部が出ている...」との気づきを得た。
「服が人に合わせる時代」の到来に向け、今後の改善に期待だ。