いまさら聞けない「公文書」をこっそり学ぶ
連日テレビのニュースや新聞各紙で取り上げられている「森友学園への国有地売却をめぐる公文書の改ざん疑惑」問題が、ますます大きな波紋を広げている。そもそも"公文書"とはどのような書類なのか、書き方や決まりはあるのか?歴史上においての存在意義など "公文書"について理解を深める3冊をご紹介。
J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。
教科書では知ることができない世界史の"真実"
中世から現代までの長きに渡る膨大な歴史資料を保管する英国の国立公文書館。ここには"米国独立宣言のポスター"、"シェイクスピアの遺言書"、"欧州分割を決定づけたチャーチルの手書きメモ"をはじめ、"夏目漱石の名前が残る下宿簿"、"タイタニック号の最後のSOS"といったあらゆるジャンルの資料が納められている。『英国公文書の世界史』(著者:小林恭子 中央公論新社 950円)では、英国国立公文書館に納められている貴重な歴史の情報の一部を紹介する。
「日本にまつわる公文書/夏目漱石の足跡・原爆投下後の光景ほか」「イングランド王国から大英帝国へ/最古の公文書―土地台帳・ヘンリー8世の離婚証明ほか」「大英帝国最盛期、産業革命の時代/ 世界初の切手・ホームズ宛ての手紙」「2つの世界大戦、分割される世界/国王の退位証明ほか」「大英帝国の崩壊、東西冷戦/ケンブリッジ・スパイほか」「英国と日本の公文書館、これまでとこれから」の全6章。
わかりやすい文章を書きたい人へ
公務員があらゆる文書を作成する際に気をつけなければならない基本のルールである「公用文の書き方」をわかりやすく解説する『分かりやすい公用文の書き方』(著者:磯崎陽輔 ぎょうせい 2057円)。著者は内閣官房内閣参事官、総務省国際室長、総務省大臣官房参事官などさまざまな役職を歴任した磯崎陽輔氏。本書では、「公用文の書き方のルール」「主語と述語」「漢字と平仮名」「送り仮名」「句読点」「文体」「項目番号及び配字」「名詞の列挙」「通知文の書き方」を分野別に基本原則と例外、間違いやすい実例を豊富な例文とともに紹介している。初心者からベテランまで、この1冊で迷うことなく正しい公用文を書けるようになる。用字用語索引付き。
「秘密が横行する権力は必ず暴走する」
「第二次世界大戦敗戦直後の軍部による戦争責任資料の焼却指令から福島第一原発事故、南スーダンの自衛隊の日報をめぐる顛末等にいたるまで変わらない、情報を隠し続けて責任を曖昧にする国家の論理。この"無責任の体系"を可能にするものは何か?(本書より)」
『国家と秘密 隠される公文書』(著者:久保亨、瀬畑源 集英社 778円)では、その原因が情報公開と、公文書の管理体制の不備にあることを指摘している。
「捨てられる公文書―日本の公文書管理の歴史」「現代日本の公文書管理の実態と問題点」「特定秘密保護法と公文書管理」など全5章。
本書は、「国民の"知る権利"を軽んじ、秘密が横行する権力は必ず暴走する」と警鐘を鳴らしている。