「内定者研修でゼミ欠席」大学教員が疑問視 「貴重な勉強時間」...でも学生自身の意識は?

   新聞朝刊に掲載された、「卒論ないがしろに 内定者研修」と題した大学教員の投書がインターネット上で話題を集めた。

   新卒採用や内定者研修のあり方について、さまざまな意見がSNS上に上がっている。

内定者研修は必要?
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「研修の時期や方法についての配慮が欲しい」

   2018年2月9日付けの朝日新聞朝刊12面「オピニオン」のコーナーに、大学教員の福島斉さん(60)の投稿が掲載された。内定者研修のためにゼミを欠席する学生が増えている、という内容だ。

   福島さんはゼミへの参加や卒業論文作成は、「大学時代に勉強してきた内容の集大成とも言える貴重な機会」であるとし、

「入社後に社員を育成するのが企業の本来の姿である」

と主張している。入社前から内定者に仕事を教え込もうとする企業の姿勢に疑問を感じているような記述もあり、「研修の時期や方法についての配慮が欲しい」という。

共感の一方で「ゼミをサボってる?」との疑いも

   この投稿を受け、

「入社前に研修させる意味がわからない」
「学生の勉強の時間奪わないで欲しい」
「教えるのに金を払う、が嫌なんでしょうね。あくまで仕事をした対価として給料を払うと」
「たとえば、入社前研修解禁日みたいな協定があってもいいように思います」

など、福島さんへの共感や、現在の日本企業の内定者研修のあり方に対する疑問の声が上がった。

   一方で、

「学問への意識の低い学生が内定者研修を理由にゼミをサボってるってのは考えられないの?」
「学問に興味がある人は研修とか行かずに卒論に集中すべきでは?」

など、学生の意識の問題を指摘する意見もある。

   また、

「大学生が熱望する大企業と呼ばれる企業は、そもそもこんなレベルじゃないのか...?」
「企業としては即座に使える人材が欲しいのでしょうね」

といった見方もあった。

月イチの内定者研修「苦にならない」7割

   人材サービスの「ディスコ」は2017年、学生モニター1043人(文系662人、理系381人)にアンケート調査を実施し同年5月に結果を発表した。

   就職決定企業から内定後にどんな課題や研修があったかの回答では、「通信教育(e-Learning含む)」(43.7%)が最も多く、「近況報告などレポートの提出」(24.7%)、「集合型の入社前研修」(24.7%)、「課題図書、新聞の定期購読など」(24.0%)と続いた。

   これを学生はどう感じているのか。調査の結果、「かなり負担に感じた」(7.3%)、「やや負担に感じた」(22.0%)、「負担はなかった」(70.6%)となり、7割以上が負担に感じていないことがわかった。

   内定者へのフォローの頻度は、最も多かったのが「1か月に1回程度(毎月)」(40.5%)。次いで「2か月に1回程度(隔月)」(25.8%)、「3か月に1回程度」(18.2%)という結果だ。

   これに対し、学生は「ちょうどよい(適切な頻度)」(77.3%)という回答が7割を超えており、次に多かったのが「少ない」(16.3%)という回答で、「多い」(6.3%)という意見は少数派だった。

   月に1回程度の研修であれば大半の学生の負担にはならないようだ。ただ研修のためにゼミを欠席することの是非は残る。

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