「可愛すぎてしんどい」って言っていいよ 奥が深すぎる「腐女子の感情類語辞典」
国語辞典『広辞苑』の第7版が2018年1月12日に発売され、「ちゃらい」「がっつり」など多数の現代語が収録された。
それから約2週間後の1月30日。広辞苑のはるか先を行く(?)辞典『推しが尊すぎてしんどいのに語彙力がなさすぎてしんどい -腐女子の感情類語辞典-』 (一迅社)が発売された。なかなか強烈な書名だが、記者がその中身に迫る。
言葉の荒波にダイブしよう
いきなりだが、クイズだ。「しんどい」とはどんな場面で使うだろうか。
「何を当たり前のことを聞くんだ!」と思うかもしれない。『広辞苑』第7版を引くと、「くたびれている」「つらい」「くるしい」といった負の感情を表す際に用いるとある。
では、『腐女子の感情類語辞典』だとどうか。ページをめくると、実に16もの感情に該当する。「悲しい」「憂鬱」だけでなく「幸せ」「愛しい」「興奮」などポジティブな感情表現にも使える、非常に便利な単語だとある。
例えば、
「夢にまで見た生ライブ......めちゃめちゃしんどい」
と興奮しすぎて心が持たない時や、
「可愛すぎてしんどい......!」
と好きなあまり心が疲弊している場面でも使用できるとのこと。広辞苑ではカバーしきれない用例が多数紹介されており、言葉の豊かさを実感できる。
「ここに教会を建てよう」も収録
実は本書は、SNSなどで一般化した感情を表すネットスラングをまとめたもの。恐らく、今後も広辞苑には載らなさそうな「専門用語」を体系的にカバーしている。
「気持ちを伝えたくても適当な言葉が見つからない」「もっとうまい表現はないか」――。こんな時に本書が役に立つ。
使い方はこうだ。怒りや葛藤、面白い、憂鬱、満足など「感情別」に41項目あり、その該当ページに並んだ類語の中から言葉を選ぶ。類語は800語以上を収録した。
例えば「怒り」の項目に並ぶ「ふざくんな」は、
「ふざけるなと声を荒げたい時の言葉。あえて一文字かえることで、事を荒立て過ぎずに遺憾の意を表明できる」
「幸せ」に相当する「ここに教会を建てよう」は、「お似合いの二人が早くくっついてほしいと思う時に使う」とある。
タイトルの通り、対象読者は男性同士の恋愛を扱った作品を好む「腐女子」だが、男性記者が一読したところ特に違和感はなかった。
発売後、ネットでは親和性の高さから早くも注目を集め、ツイッター上には
「久々にタイトル買いした。腐女子ってあるけど、皆使ってるようなネットスラングかなり載ってる」
「この本めちゃめちゃ読みたい。推しのためとかじゃなくて普通に語彙力なくてしんどい(編注・悲しい)からさ」
といったツイートが寄せられている。