複数のクラウドサービスを簡単管理 SBクラウド「Alibaba Cloud」にも対応
企業や個人がクラウドコンピューティング環境を利用できる「パブリッククラウド」のニーズが高まっている。2017年11月8日~10日に千葉・幕張メッセで開催された国内最大規模のIT見本市「Japan IT Week秋」では、注目の製品が出展された。
モビンギ(本社・東京)の「Mobingi ALM V3」は、SBクラウド(本社・東京)が国内で提供する中国最大のクラウドサービス「Alibaba Cloud」に、新たに対応。そのうえで、複数のパブリッククラウドのリソース管理を自動化する。
使い勝手を軸にユーザーメリット重視の設計
企業で複数のパブリッククラウドのサービスを利用している場合、通常は各サービスの異なる管理画面にアクセスしなければならず、リソース管理も複雑だ。
「Mobingi ALM V3」は従来品をバージョンアップし、ひとつの画面上から、Alibaba Cloudはじめ、Amazon Web Services(AWS)など複数のサービスをプルダウンで選択するだけで機会や機能に応じて使い分けできるようにした。専門知識のある技術者がいない場合でも画面操作が簡単で、Alibaba Cloudの導入が容易になる。また、役割によるアクセス権限設定や監査ログ機能など、企業が求める利用時の安全性と透明性を高める機能を追加した。
今日、自社の人的資源や設備投資にかかる費用を考慮して社内システムのクラウド化を進めている企業が増えている。さらにビッグデータや人工知能(AI)の活用が注目され、これらをどう動かすかという点でも、パブリッククラウド利用の必要性が高まっている。
そのうえで、「企業が1社のクラウドサービスだけでシステムを構築していく時代ではなくなっていく」と指摘したのは、SBクラウド代表取締役兼CEO(最高経営責任者)の内山敏氏。例えば日米間はAWS、日中間はAlibaba Cloud、というように複数を使いこなす場合、企業内のIT部門にとってはそれぞれを管理するだけでも負担が増す。今回の新製品は、こうした課題の解決を支援するために、使い勝手を軸にユーザーメリットを重視して設計された。
中国最大のパブリッククラウド
Alibaba Cloudは、中国最大のパブリッククラウドだ。アリババグループの全EC(電子商取引)サービスを支えるコンピューティングプラットフォームで、複数のデータセンターを有する提供エリアが中国本土に7か所、全世界に15か所ある。日本国内では2016年12月からSBクラウドがAlibaba Cloudの日本国内データセンター運用やサービスのローカライズ、日本語サポートの提供を開始。日本と海外のクラウド間において高速で安定した通信を実現する接続サービス「Express Connect」と併せて、日中間のセキュアな高速通信インフラ環境と、グローバルなクラウドコンピューティング環境を実現する。
モビンギ社長のウェイランド・ジャン氏は、世界シェア3位となったAlibaba Cloud が首位のAWSを追い上げていると説明。日本国内はAWSが「巨人」ではあるが、「Mobingi ALM V3」の発表で、「むしろ迫っていくための好機だととらえています」と話した。
「(SBクラウドは)重要な産業の基盤を支える事業者との自覚があります」と、内山氏。今後について、「お客様により良いサービスを提供するうえで、あらゆる可能性を排除しないスタンスを保ち続けます」と語った。
「Mobingi ALM V3」は、11月22日からサービス開始となる。