ビール離れは本当か? 最新「若者のビール家飲み事情」 意外な男女差も
社会人なら誰でも聞いたことのある「とりあえずビール」。ところがビール、発泡酒、第3のビールを含むビール系飲料の出荷量は12年連続で過去最低を更新しており、とくに若い世代ほどビールを飲まなくなっているといわれる。一方で東京商工リサーチが2016年9月に発表した「第7回地ビールメーカー動向調査」によれば、全国主要地ビールの累計出荷量は毎年前年を上回っているという。
本当にビール離れが進んでいるのか――。サッポロビールは、2017年4月に「若者の最新ビール家飲み事情」に関するアンケートを実施し、6月1日に結果を発表した。男女ともに約4人に1人が「ほぼ毎日」家でビールを飲んでいること、男性は「キレ味」、女性は「すっきりした後味」をそれぞれ求めること、好きなビールのタイプは男女ともに「ピルスナー」であることが判明した。
男性よりも女性の方が飲む回数が多い!?
このアンケートはサッポロビールの公式サイトにて実施したもので、全国の20歳から34歳までの2146人(男性718人、女性1428人)が回答した。
最初の問い「一般的に、どの頻度で家でビールを飲みますか?」に対し、男性の23%、女性の24%が「ほぼ毎日」と回答した。一方、「飲まない」と答えた人は男性が4%、女性が6%だった(図表1)。
同社によれば、アンケートに回答した人は公式サイトに会員登録した人が中心という。ということは、平均的な20歳~34歳よりもビール党の占める割合は高いはず。そのへんを考慮する必要はありそうだが、図1を見る限り、ビール好き男女に摂取回数の性差は小さそう。
続いて「味や香りなどビールに求める一番の要素は何ですか?」と聞いたところ、男女で多少の違いが見られた。男性の上位3位は「爽快なキレ味」(22%)、「麦のしっかりした味わい」(20%)、「上質なコク」(19%)が選ばれ(図表2)、女性は「すっきりした後味」(21%)、「上質なコク」(21%)、「爽快なキレ味」(19%)が支持を集めた(図表3)。「麦のしっかりした味わい」と「ホップの苦み」は、男性と比べて女性が3ポイント低かった点が注目される。
女性1人の家飲みスタイルは「まったり寛ぎながら」
「家飲み時、最も飲みたいタイプのビールは?」は、メーカーにとって最も気になる設問だろう。男女ともに「たくさん飲める一般的なピルスナー」(48%)が1位に輝いた(図表4・5)。2番人気だった「華やかな香りとコクのホワイトボール」は、男性の支持率が20%、女性が24%という結果に。
ちなみに同社が35歳以上の男女480人に別途同様のアンケートを実施したところ、「じっくり味わう黒ビール」の人気が高かった。この傾向について同社は次のようにと分析する。
「黒ビールブームであった1995年前後に楽しんでいた年代の方は、黒ビール飲用頻度が高い傾向にあると推測される」
最後の問いは「家飲みシーン」について。「平日の夜、1人で飲む時」(図表6)、「週末に1人で飲む時」(図表7)、「家族や友人など複数人でのホームパーティーや自宅飲みの時」(図表8)、「恋人や配偶者など2人で飲む時」(図表9)の4つのシーン別に、当てはまるものを複数回答で選んでもらった。
「平日の夜、1人で飲む時」「週末に1人で飲む時」「家族や友人など複数人でのホームパーティーや自宅飲みの時」は、男女ともだいたい似たような傾向に。ただし「平日の夜、1人で飲む時」は、男性が「食事に合わせて」(51%)が最も多かったのに対し、女性は「まったり寛(くつろ)ぎながら」(52%)を選ぶ人が最も高かった。女性の方がビールに対して気分のリフレッシュを求めているのだろうか。
「恋人や配偶者など2人で飲む時」についても興味深い結果が出た。男性の47%が「相手のペースに合わせて飲む」と答えたのに対し、女性が選んだ項目で最も多かったのは「相手と同じものを飲む」(58%)だった。異性で酒を酌み交わすとき、相手に気を遣うポイントが男女で微妙に異なるようだ。