誰もが安心して運転できる軽自動車を提供したい ダイハツの考える「安全・安心」とは

   現在の日本で新車販売台数のうち軽自動車はおよそ4割を占める。「ガラ(パゴス)軽」と呼ばれることもある軽自動車は、独特の進化を続けユーザー目線に立った自動車づくりでファンを増やしてきた。

   ここ数年のドライバーの関心事、それは「安全性と安心感」だ。調査会社のクロス・マーケティングは2017年春、全国の20~69歳の男女で、各世帯で自家用車を1台以上所有し、さらに週1日以上自分で運転する1000人を対象に「自動車に関する実態調査」を行った。「自動車に求めるもの」のベスト3は、「運転のしやすさ」(支持率69.5%)、「乗り心地のよさ」(同62.2%)、「安全性・安心感」(60.2%)だった。3年前の調査で2位だった「燃費のよさ」(同59.2%)は4位に順位を下げる結果に。

   自動車を選ぶ際の基準が変化している訳とは――。J-CASTトレンド編集部は、年度別で軽自動車の売り上げナンバーワンを続けるダイハツ工業(以下、ダイハツ)の国内マーケティング部の橋本駿太郎主任に話を聞いた。

ダイハツ工業 国内マーケティング部 販売企画室 販売販促の橋本駿太郎主任
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「軽」は日本の道路事情にマッチしたスタイル

――自動車カテゴリーの中で、軽自動車の存在や役割をどのように考えていますか。

   「全国には対向車とのすれ違いに気を遣うほど幅の狭い道やグネグネした道が至るところにあり、小回りの利く軽自動車は有利です。単純に税金の安さだけでなく、国土に合った日常の生活の足として、日本には不可欠なものだと思います」

――全国軽自動車協会連合会が発表したブランド別軽自動車の販売台数で、ダイハツが1位を守る理由をどのように分析されていますか。

   「2016年度は、連続して軽自動車シェアのトップをとらせていただきました。我々は『お客様に最も身近な会社に』と常々社内で言っており、そういったことから出させていただいた商品がお客様に受け入れられたのかなと思います」

90%以上のお客に選ばれる安全システムとは

――軽自動車の保有台数が増加する中、車種を選ぶ際の基準に変化が起きていることについて、どのように考えていますか。

   「ハイブリッド車が登場して以降、燃費のいい車が増えました。購入者の深層心理として『燃費はいいもの』という考えが前提になっていると思われます。一方で悲惨な交通事故が報道されることにより、『安全・安心に乗りたい』という気持ちがドライバーの間で強くなっているのではないでしょうか。あるテレビ番組が報じて、私も興味深く拝見したのですが、アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故は高齢者だけでなく若い人にも起こり得るそうです。少しでも安心して車を運転したいという気持ちから、安全・安心を求める傾向が世代を問わず高まっていると考えています」

――ダイハツには「スマートアシスト」という安全システムがありますね。いつ頃から搭載されるようになりましたか。

   「12年12月です。ムーヴに軽自動車で初めて『スマートアシスト(以下、スマアシ)』という衝突回避支援システムを装備しました。15年4月にスマアシIIが出て、16年11月にスマアシIIIへと進化しました。16年7月末時点でスマアシ搭載車両の累計販売台数は100万台を超えています」

――最新のスマアシIIIはどのような技術的特徴があるのでしょう。

   「IIは赤外線レーザーレーダーと単眼(シングル)カメラという組み合わせだったのに対し、IIIは世界最小のステレオカメラを採用し、『対歩行者衝突回避支援ブレーキ』が可能になりました。あと大きなところではハイビームとロービームを自動で切り替える『オートハイビーム』が挙げられますね。IIIは単に緊急ブレーキということではなく警報機能も付いていますし、ペダルの踏み間違えで起きる急発進を抑制する『誤発進抑制制御機能』は前方と後方の両方に付いています。車線からのはみ出しを防ぐ『車線逸脱警報機能』は、白線を越えそうになると警告音とメーター内表示でドライバーに知らせます。信号待ちでのうっかりを防止する『先行車発進お知らせ機能』は、前の車が発進したことに気づかないときにお知らせします。スマアシ付きの車両はかなり多くのお客様に選ばれています」

1か月あたり1000円以下にも 業界最安級で受けられる「安心」

――安全性向上技術への関心が高くても、システムが高価だと装着をためらう人もいるでしょう。そのへんはどのようにお考えですか。

   「スマアシIIIは、昨年出した新型タントに6万円台(税抜)で付けさせていただきました。15年度の交通事故の内容を見ると『車両の相互・追突』が30%以上あり、そのうち時速30km以下が8割を占めます。低速の事故は誰にでも起こり得ることであり、安全システムは一部の人のための高価な機能であってはならないと考えます」

――仮に6年間乗ると仮定して、1か月当たりの負担は1000円以下。一種の保険と考えれば決して高くはないですね。

   「先日、スマアシ搭載車に乗っているお客様にアンケートを実施しました。運転中にシステムが作動した経験を持つ人だけでなく、システムが作動したことがなく店頭でしか体感したことがないという方からも『万が一のことを考えると、搭載した車にこれからも乗り続けたいし、家族にも勧めたい』という声をいただいています」

――ダイハツユーザー以外でスマアシを試してみたいという人も大勢いると思います。

   「われわれダイハツは、少しでも不幸な事故を減らしたいと考え、スマアシの普及活動に取り組んでいます。『みんなの安全・安心プロジェクト』として、5月13日から年間を通じて、全国各地のイオンモールなどで多くの方にスマアシを体感いただく試乗会を行っています。併せて、ダイハツの店頭でもスマアシを体感いただけるようになっているので、体感するだけでもいいので、ぜひ試していただきたいですね」

――新型「ミラ イース」にもスマアシIIIが搭載されたそうですね。従来モデルと比べてどのような点が進化していますか。

   「車庫入れのときにバンパーの隅をこすってしまったり、縦列駐車で他の車と接触してしまったりするのはドライバーにとって不安なことですよね。新型『ミラ イース』のスマアシIII搭載モデルには、軽自動車で初めて、フロントとリヤの4隅にコーナーセンサーを標準装備しています」

――ダイハツの歴史を振り返ると、2006年の新型ムーヴに「プリクラッシュセーフティシステム」や「SRSニーエアバッグ」を軽自動車として初めて搭載するなど、新しい安全技術の導入に意欲的な印象を受けます。

   「軽自動車は日常生活の足として絶対に欠かせないものになりました。革新的な技術に向けた創意と工夫は当然のこととしても、少しでも安心な気持ちで運転することは、クルマをお使いの全ての方が享受すべきものと我々は考えます。『良品廉価』をモットーに、どうしたらより多くの人にそういったものを利用いただけるか、常に追い求めています」

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