認知症予防に「脳活日記」を 1日数行、楽しみながら書こう
高齢社会になり、認知症の人が増えている。とはいえ、80代、90代でも無縁という高齢者がいる一方で、50代、60代での患者も珍しくなくなった。
毎日、日記をつけ、脳を活性化させることで認知症発症を予防しようとの試みが注目を集めている。
『効く!認知症予防脳活日記』(清水啓子著、尾内康臣監修、主婦の友社)
老人ホームで実践
『効く!認知症予防脳活日記』(発売・主婦の友社、税別1200円)を2017年 2月に出版したのは、浜松市で老人ホームを経営する清水啓子さん。認知症予防で知られる金子満雄医師の協力を得て、自ら認知症予防専門士として予防プログラムを企画実践している。
B5判約 180ページの初めの約30ページは脳の働きや認知症などの基本的な医学知識編。ただし、それだけでないのは、「朝晩牛乳を飲んでカルシウムを補給」「指先の筋肉を意識的に使う」「歩く習慣」など、105歳の日野原重明・聖路加国際病院名誉院長の「心と体が老けない秘訣」 6項目、金子医師の「誰にでもできる早期認知症自己診断法」、脳を活性化する「 1人でできる指体操」、「認知症予防の10カ条」・・・笑いや栄養の大切さなど具体策が示されている。
日記はいつからでも始められる。まず、「今月やりたいこと」「今月の我が家の行事」「食べたい料理」「旬の野菜、くだもの」などの一覧表を埋めてから、 1日数行を書く。年月日と曜日、天気、散歩の場所、健康状態、楽しかったこと、笑ったことなど毎日記入する項目以外に、1 行分は「朝食メニュー」「昼食メニュー」「出会った人」「着ていた服の色」「起床時間」「出かけた場所」などその日によって違った内容になっている。
さらに各ページには、頭を使うクイズやなぞなぞのコーナー、懐かしい歌の歌詞、偉人の言葉なども掲載され、楽しみながら書ける工夫がされている。
短くても毎日日記を書くのは努力が要る。夫婦や親子が交代で、あるいは一緒に書くなどで、予防に重要なコミニュケーションを広げ、さらに効果を上げてほしいというのが清水さんの願いだ。 (医療ジャーナリスト・田辺功)