「世界が羨む革新的なペイメントサービスを求む」 クレジットのJCBがITベンチャーに呼びかけ
クレジットカードのジェーシービー(JCB)は、新たなペイメント(決済)サービスを開発するため、スタートアップ企業からビジネスプランを求めるコンテストを開催している。
コンテストは事業創造プロジェクト「JCB Payment Lab」の一環として行われている。実用化を前提にアイデア募集を行い、有望案件に絞込み、審査を経て有望と認められれば、その実現に向けてスタートアップ企業と協業する。
募集テーマは2つ。予約注文・店頭受取アプリ、SNSなどの既存アプリと連動したウォレットアプリなど新たな顧客体験を実現する「モバイルペイメントサービス」と、JCBの保有する決済システムや膨大なデータ履歴を活用した「ペイメント周辺サービス」だ。2人以上の法人で、17年7月の「DEMO-DAY(デモ・デイ)」をメドにプロトタイプを作成できることがエントリーの条件。締め切りは10月30日まで。
プロジェクトに参加することによって得られるメリットとは
スタートアップ企業とは「比較的新しいビジネスで急成長し、市場開拓フェーズにある会社」のこと。ここ1、2年で「フィンテック」という言葉を耳にしたことのある人は多いだろう。金融(ファイナンス)と技術(ファイナンス)を組み合わせた造語だ。海外では最新の情報・通信技術を持つ新興企業が金融業界に相次いで参入し、安くて合理的なサービスを提供することで、急速にその勢力を拡大している。
金融関連企業が保守的なのは世界共通。欧米では優れたスタートアップ企業と提携し、自社に合ったサービスをいち早く顧客に提供することで、フィンテックによって起きている金融業界の変化に乗り遅れまいとする動きが活発になっている。
日本発のクレジット会社で唯一の国際ブランドであるJCBもまた、フィンテック分野でのイノベーションを創出したいと考えている。そのパートナーとなりうるベンチャーに対しては業務提携や出資も検討する。
JCBが掲げるプロジェクトのキーワードは「世界が羨(うらや)む革新的なペイメントサービスを求む」。2020年のオリンピック・パラリンピック開催都市である東京は、大会終了まで世界中の視線を集める。そのときまでに本プロジェクトによって生まれた新サービスが普及していれば、スタートアップ企業にとっても開発力や技術力をアピールする絶好の機会となるはず。なにしろ、JCBが保有するペイメントネットワークや会員・加盟店ネットワークといったリソースを活用できるのだから。
プログラム参加企業が本プログラム過程で、単独で新しく創出した「成果」にかかる知的財産権はスタートアップ企業(参加者)に帰属する。ただし「成果」にJCBが所有する知的財産権が含まれる場合、同社の知的財産権について権利は移転せず、当該部分を除き、参加者が単独で開発した部分の知的財産権が参加者に帰属する。