アメリカ「独立記念日」に考える...イギリスの「EU離脱記念日」はいつになるのか
「7月4日」はアメリカの独立記念日。新大陸の13の植民地がそれまで宗主国であるイギリスから独立したのが1776年のこの日だ。アメリカ各地では毎年、盛大にお祝いのイベントが行われている。当時の一方の"主役"であるイギリスは、アメリカ独立から240年目の節目の2016年、欧州連合(EU)から"独立"することを決めた。今回はアメリカの「独立記念日」を機会に、"独立"をキーワードに歴史を振り返り、世界の将来を考えるうえで参考になる3冊を紹介。
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アメリカの独立革命をコンパクトにわかりやすくまとめた入門書
『アメリカ独立革命』(著・ゴードン・S・ウッド、訳・中野勝郎、2808円、岩波書店)
ブラウン大学名誉教授で、アメリカ歴史学の第一人者であるゴードン・S・ウッド氏の著書『アメリカ独立革命』(著・ゴードン・S・ウッド、訳・中野勝郎、2808円、岩波書店)。
「起源/人口の増加と移動、経済発展」
「アメリカの抵抗/ブリテンの巻き返し、帝国論争」
「革命/独立宣言、自由のための避難所」
「憲法制定と戦争/邦憲法、独立のための戦争」
「共和主義/平等、新しい世界秩序」
「共和主義社会/戦争の影響、革命の影響、反奴隷制」
「連邦憲法/危機の時代、フィラデルフィア会議」
――の全7章で、革命の起源から連邦憲法の成立までをたどりながら、全体像をコンパクトに描いている。
ブリテンの帝国システムの中で発展したアメリカ植民地は、本国とどのように対立し、なぜ独立を選ぶことになったのか...。独立戦争の過程で広がりをみせた共和主義の思想は、アメリカ社会をどのように変えていったのか...。アメリカ独立の全貌が見えてくる。
イギリスのEU離脱、ギリシャの経済危機でEUは崩壊するのか!?
『欧州解体』(著・ロジャー・ブートル、訳・町田敦夫、1944円、東洋経済新報社)
デフレ社会の到来をいち早く予言した欧州最大の経済調査会社「キャピタル・エコノミクス」の創業者で、英国No.1エコノミストの著書『欧州解体』(著・ロジャー・ブートル、訳・町田敦夫、1944円、東洋経済新報社)。現在の欧州連合(EU)は政治的・経済・外交的にどう間違っているのか、EUに内在する矛盾と機能不全を分析する。
「EUは本来、誤った決断をするようにできているのだ。ユーロのつまずきがEUの解体を招くなら、私たちはそれを、EUの内的矛盾の結果として起こった必然的なできごとと見なすべきだろう。カール・マルクスならそう言ったはずだ」。
「EUはいかにして、またなぜ創設されたのか」、「単一通貨ユーロが抱えるトラブル、経済的惨事を避けるための政策」「EUは進んで改革に取り組むことができるのか?」「EU離脱のコストと利益」など、全10章で語り尽くす。
35のキーフレーズで世界史全体を一気に俯瞰できる
『世界全史 「35の鍵」で身につく一生モノの歴史力』(著・宮崎正勝、1728円、日本実業出版社)
筑波大学講師、北海道教育大学教授などを経て、現在はセミナーなどの講師として活躍中の宮崎正勝氏の著書『世界全史 「35の鍵」で身につく一生モノの歴史力』(著・宮崎正勝、1728円、日本実業出版社)。
「世界史の始まり」「地域ごとに並び立つ帝国の時代」「世界史の舞台を大きく拡張した大航海時代」「地球規模の時代へ」など全9章。
歴史の転換点ごとに35のキーワードを紹介。歴史の大きな流れをつかみ、それぞれの出来事について「現代から見た意味」が解説されているので、それが現代にどのように関係しているのか、歴史の意義や意味が理解することができる。さらに、歴史の流れだけでなく、関連する話題をトピックとして挿入。現代で進化するグローバリズムを歴史の観点から考えたい、あるいは、学校の授業などでなんとなく知っていることを掘り下げておさらいしたいと思っている人はお試しを。