これでジカ熱の蚊も近寄らない!? 「蚊に気づかれにくくする次世代マスク」新発売
洗えるPM2.5マスクなどを製造する「くればぁ」(愛知県豊橋市)は2016年7月5日、中南米地域を中心に感染者が出ている「ジカウイルス感染症」(通称「ジカ熱」)の対策マスク「bo-bi PRO(ボービ プロ)」を発売する。
「bo-bi PRO」は、デング熱・マラリア対策用のネット「くればぁ虫退避ネット」を改良した製品だ。蚊が寄ってくる2つの原因を絶つことで、ジカ熱をもつ蚊を近寄らせないようにする。
海外では「ジカ熱が怖い」と五輪を辞退する選手も
ジカ熱は人から人への感染ではなく、ジカウイルスをもった蚊に人が刺されることで感染する。軽度の発熱や頭痛、関節痛、皮膚発疹を起こすものの、症状は軽い。ところが妊婦が感染したとき、新生児の小頭症を引き起こすのではないかと強く疑われている。
流行地の1つであるブラジルでは、リオデジャネイロオリンピック(リオ五輪)が今年8月に開催される。当初懸念されていた会場の準備は急ピッチで進められる一方で、世界の関心は「ジカ熱問題」に移っている。
世界保健機関(WHO)の専門家チームは6月14日、リオ五輪でジカ熱が世界に広がるリスクは「非常に低い」という見解を示している。それにもかかわらず、アメリカの自転車競技選手やスペインのバスケットボール選手が欠場を表明する騒ぎになっている。
こうした懸念は日本も他人事ではない。タイ、フィリピン、ベトナムでもジカ熱の感染者が確認されているからだ。これから日本は蚊がいたるところで発生する季節を迎える。「くればぁ」によると、「ジカ熱対策のマスクを販売してほしい」という声が1000件以上寄せられたという。
マスクとオイルの力で「蚊を遠ざける」
蚊は、人の呼気に含まれる二酸化炭素やニオイ成分「イソ吉草酸」、体から排出される汗に引き寄せられる。
「bo-bi PRO」は、呼気に含まれる二酸化炭素がフィルターを通過するとき、ヒノキ成分で包み込んで(化学吸着)、蚊にとってイヤな成分に変化させた上で揮発する。イヤな成分は蚊の温度感覚器の穴を塞ぎ、人が出す汗を蚊に感知させなくする。
マスクはすき間を作らない構造になっており、二酸化炭素が漏れないようになっている。
さらに特別な働きを有するオーガニックオイルがマスクに施されている。ヒトは皮膚から微量な汗を排出する。オーガニックオイルは汗や皮膚から出る二酸化炭素を他の物質に変えてくれる。「くればぁ」は、このオーガニックオイルをマスク購入者全員に無料でプレゼントする。内容量は100ミリリットル。大人がワンプッシュで使用した場合、およそ1年もつそうだ。
「くればぁ」は第三者機関に依頼して、マスクの「防蚊加工評価試験」を行った。蚊の成虫とモニターの男女を使ってテストしたところ、62.5%~64.7%の忌避率が得られたという。同社は「bo-bi PRO」の完成度について、次のように胸を張る。
「このマスクを着用することで、蚊にとっての『透明人間』になれます!」
マスクとオーガニックオイルを併用することで、野外でも蚊から自分の体を守ることができるはずだ。暑い場所で装着しても不快に感じないよう、肌がひんやりする「接触冷感加工」を施したガーゼ生地を内側に使っている。汗を吸水速乾する材質のため、いつもさらさらした状態(べたべたしない)でいられる。
サイズはL/M/MS/S/オーダーメイドの5サイズで、価格は交換フィルターが10枚ずつ入った「再利用タイプのマスク」マスクカバー付きで1万4980円、「使い捨てタイプ5枚入り」が2980円、「使い捨てタイプ20枚入り」が8980円。既に大量の注文を受けているため、当面はネット販売のみ。生産が落ち着き次第、名古屋の東急ハンズ名古屋店と同ANNEX店にも置かれる予定だという。