キャラ弁ならぬ「キャラめん」動画 "味"の決め手はアナログ感 コミカルな映像に込められた思いとは
ご飯やおかずを使ってキャラクターの顔を作る「キャラクター弁当」ことキャラ弁は、禁止令を出す保育園や保育所、幼稚園が続出するほど、ママたちの間で過熱している。この手法を応用した新しい盛り付け――「キャラめん」がYouTubeで公開されている。
キャラめんの作り方は実に簡単だ。カップめんや袋めんに野菜、練り物をちょい足しするだけ。多様な食材を組み合わせることによって、栄養バランスがさらに良くなることをPRしつつ、即席めんにまつわる誤解を解く狙いが、この動画には込められている。
構想に1年、撮影時間に150時間を要した大作
公開したのは、即席めんや調味料、かやく、加工米飯の製造業者が加盟する「日本即席食品工業協会」(東京都台東区)だ。
「We are the Noodle!」と名付けられた2分15秒の動画は、構想に1年、制作期間に12日間、撮影時間に150時間を要した。どこかアナログなコンテンツで、躍動感や力強さ、人間くささにあふれている。それもそのはず、アニメーターが1コマ1コマ、具を動かしたのだ。そして制作現場では「クオリティの上げすぎ禁止令」が発令されたという。
第1条 キャラの考案には、10分以上かけてはならない
第2条 キャラの声は、プロの声優がやってはならない
第3条 キャラ制作には、近所のスーパーで売っている具材しか使ってはならない
第4条 アニメーションを撮り直してはいけない
第5条 使用した即席めんは、撮影後、速やかに食べなければならない
撮影にまごまごしていたら、麺の形状が変化することは容易に想像できる。制作スタッフの熱意には恐れ入る。
動画に次々と登場するキャラクターは全部で17種類。愛くるしい表情で次のように語りかける。ミュージカルみたいといったら言いすぎだろうか。テロップは日本語と英語の2種類が挿入されている。また各キャラクターの名前や使用食材の詳細は、5月6日にオープンした特設サイトで見られる。
「誤解してる人がまだいるんだ、ぼくたちを食べない方が良いんだと」
「そんなことないのにね」
「塩分が気になるの? ボクらごちそうとそんなに変わらないよ」
「添加物も不安って言われてるけど、リンゴ みかん 海藻 大豆 にんじん...自然の恵みでつくられてる」
「このマーク見てよ、『JAS』マークって言うんだよ。国から太鼓判もらってる」
「栄養バランスも大丈夫、めんはごはんやパンと同じ炭水化物。気になるなら野菜をチョイ足しすればいい」
同協会の公式サイトでは、インスタントラーメンに使用される添加物については、厚生労働省の厳しい審査をクリアし、食品衛生法で安全と認められたものに限定されていると説明されている。その一例として、着色料は「くちなし、海そう、カラメル」など13種類しか使えず、安心して食べられるという。野菜などを活用して上手に付き合っていけば、実に便利な食材だ。
食材を追加するとその分だけカロリーは増える。野菜ならたくさん食べても気にする必要はなさそうだが、気になる人は低カロリータイプという選択肢がある。例えば、日清食品の「カップヌードルライト」は1カップで198kcal(キロカロリー)と、通常の「カップヌードル」(353kcal)の56%に抑えられている。野菜の惣菜やサラダセットと一緒に食べることにより、低カロリーでヘルシーなメニューとなる。
たとえ野菜を追加できなくても、カップめんには意外な成分が豊富に含まれている。同協会のウェブサイト「インスタントラーメンナビ」の「栄養成分を知ろう」には、カップめん栄養成分表示の一例 (1食77gあたり)が載っている。
- ビタミンB1/0.23mg
- ビタミンB2/0.31mg
- カルシウム/113mg
ちなみに、日本食品標準成分表(15年版)に載っている生のニンジン(根、皮つき)の可食部100gあたりの成分のうち、ビタミンB1が0.07mg、ビタミンB2が0.06mg、カルシウムが28mgとなっている。
3成分に限っていえば優秀野菜のニンジンよりも多い――。この理由について「栄養成分を知ろう」には次のような説明が記されている。
「日本即席食品工業協会ではインスタントラーメンに日頃不足しがちなカルシウム等の強化剤をできるだけ添加することを推奨しています」