英語参考書のベストセラー「Forest」が新名称を公募 著者9人がブランド名を手放してまで変えたかったものとは
英文法参考書のベストセラー「総合英語Forest(フォレスト)」が出版社を変更して、2016年秋に生まれ変わる。改訂に伴い、参考書としては珍しい「書名公募」を行っている。発売から17年で累計430万部を売り上げたブランド名を手放すという大胆な決断の背景には、Forest編集に携わる著者9人の熱い思いがあった。
新たな版元となったいいずな書店(東京都台東区)の社長であり、初代フォレストの作成に携わった前田道彦氏に改訂の経緯を聞いた。
変わりゆく英語に合わせて参考書も更新を
フォレストは1999年に桐原書店(東京都新宿区)から出版され、大学講師でもある鈴木希明氏や大手予備校の河合塾で教鞭をとる墺タカユキ氏を始めとする9人の現役英語講師が執筆に携わっている。日本における英文法学習で長く主流だった「型を暗記する学習法」ではなく、それぞれの文法項目について「どういう表現をしたい時に使うのか」、「どんなイメージで文章を作るのか」といった文法成立の背景や意味を理解することに重きを置いて編集されている点が特徴だ。
今回出版社と名前を変えて再発行することになったのは、著者たちの「最新の英語に即した参考書に改めて作り直したい」という強い願いからだという。 前田氏は
「実際に、入試では最近の英字新聞や論文を取り上げた出題を取り入れる大学も多く、新しい英語がどんどん入ってきます。我々はそれに対応しなければならない」
と語る。英語に限らず、言語は時代とともにめまぐるしく変化する。参考書もその変化に沿う形で、表現や説明の方法を更新していく必要があるのだ。方向性が合致しているという理由から、筆者たちは自分たちが望む改訂ができる場所としていいずな書店を選んだという。
「名前ではなく、内容でユーザーに訴えたい」
新たな参考書は、Part1で基本概念・導入を説明し、Part2に細かい文法の解説、Part3に受験に出る少し高度な内容を載せるという3段構成や、キーワードをたどって知りたい情報にアクセスしやすくするためのインデックスラインなど、フォレストの形式を踏襲しつつ、例文や説明内容などをより新しい表現に書き換える。
書名変更も、著者らの希望だという。
「正直に申し上げますと、会社としてはフォレストの名前を継ぐ方が良いという気持ちがありました。しかし、著者の先生たちの『名前ではなく、内容でユーザーの心に訴えたい』という決意を受け入れ、どうせやるならユーザーから名前を募りましょうということになりました」
新書名はいいずな書店のホームページから応募フォームにアクセスし、必要な情報を入力すれば応募できる。締め切りは6月30日までで、新書名が採用された1人には謝礼として30万円、また全応募者の中から抽選で20人に1万円分の図書カードを贈呈する。新書名の応募者が複数の場合には抽選となる。